今後数カ月、世界経済に薄明かりが差すと期待する。夏にかけて市場は冷え込んだ。米経済指標は春先までの堅調さを失い、欧州では南欧重債務国問題がこじれ、中国など新興国景気は減速した。
しかし、ユーロ圏の政策は危機になって初めて具体化する。最近もようやくECB(欧州中央銀行)が南欧国債購入方針を示し、市場の底割れリスクが後退した。新興国も利下げや財政施策を続けている。欧州は今年後半、中国は7~9月期が景気の底になるとみる。
ただし、実質GDP成長率はユーロ圏が今年マイナス0.5%で来年0.3%、中国が今年7.7%と巡航めどすれすれの7.5%の土俵際、来年が8.2%。この緩慢な回復軌道を補強する要は米国だろう。
米国経済は2008年の金融危機から4年、バランスシート調整の足枷が厳しく、景気回復下の利上げ前の段階にとどまっている。しかし、果敢な金融緩和や財政出動によって、自律回復の兆候が表れつつある。しかもリーマンショック以降の2年間に表れた季節調整のゆがみ、米経済指標が第2~第3四半期に弱振れ、第4~翌年第1四半期に強まるパターンを勘案すると、今後半年の米経済には好データが増える可能性がある。