昔のミッキーマウス・クラブの放送では、水曜日は「エニシング・キャン・ハプン・デー(何でもありの日)」だった。米大統領選の投票翌日の水曜は、むしろ「何でもありの月」かのようだった。開票作業が続けられる中、民主党候補のジョー・バイデン前副大統領が逃げ切って勝利するかに見えたが、ドナルド・トランプ大統領もしぶとかった。上院は共和党が過半数を維持する可能性の方が高そうに見受けられた。こうして、選挙前には多くの投資家を導いていた「ブルーウェーブ(青い波)」の筋書き――バイデン氏が文句なしの勝利を上げ、民主党が上院を奪い、就任式後の大規模な刺激策導入につながる――は崩壊した。これにより、選挙結果を受けてどの投資が善戦あるいは苦戦するかを巡る目算は狂った。追加刺激策で消費者に給付される資金の恩恵を受けるはずだった小売りなど景気循環株は、4日午前の取引で出遅れた。長期米国債は2つの観点から勝ち組に入った。第一に、大規模刺激策がなくなれば、計画される新規発行額も減る。第二に、財政支援がなければ連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策を一段と緩和させる選択をするかもしれない。刺激措置が少なく、さらなる低金利の環境となれば、「TINA(他に代替はない)」と呼ばれる消去法的なトレードになり、大型ハイテク株に一層有利になるかもしれない。
大統領選混迷、「TINA」トレードに拍車も
どの投資が善戦するか苦戦するかを巡る目算は狂った
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