オンライン研修を複数回行うことで
「実践率」は99%に上昇

――最近では、オンラインを生かした管理職研修も増えているといいますが、どのようなメリットがありますか?

 これまで研修の多くは丸1日、丸2日などまとまった日程で行われていました。ただ、本来そうあるべきだったかというと、必ずしもそうではなかったと思います。特に知識理解~実践をテーマとする研修については、数時間の研修を受けて理解し、現場に戻って実践することを複数回行うような「職場と研修を行き来する研修」の方が効果は高いのではないかと、以前から言われていました。

 しかし、何回も集まることになるため物理的な移動の多さが障害になり、実現のハードルは高かったのです。それがオンラインになることで、物理的な移動の必要がなく、時間の柔軟性も高まるため、複数回実施するハードルが下がっています。またオンライン環境では、教える・教えられるという関係ではなく、お互いに学び合うフラットな関係が作りやすいので、議論もしやすくなります。

 これまでの研修では一度に多くのことをインプットしましたが、職場に戻ってから本当に実践しているのかわからないままでした。しかし、複数回にまたがるオンライン研修では、研修のワークで学んだ知識やフレームを自分の職場で活用し、次の研修ではその成果や実践から得られた学びを発表し、次のテーマを学ぶことになります。また、研修を通じて親密性も上がるので、施策が終わっても、その後もつながりが続きやすくなります。

 また、これまでの研修であれば、(学んだことの)実践率は半数にも満たないのが現実だったと思いますが、当社が管理職一歩手前のポジションの方にこの「職場と研修を行き来する研修」を行ったケースでは、実践率が99%に上っています。次の研修の際に職場での成果を発表しなければならないため、職場で実践しようという気持ちにさせられるのが大きいのだと思います。また、取り組んだことの効果が実感できていることも要因として挙げられるでしょう。

 当社の調査(20年8月)では、オンライン研修を導入する企業の数は半数以上に上っており、管理職研修でも4割弱が導入済みとなっています。今後についても約6割がオンライン研修、もしくは集合研修とオンライン研修のハイブリッド型を希望しており、今後、オンラインの特性を生かした研修の需要は高まっていくでしょう。