中学入試にも英語が課される日が?

――英語力に難があると。

野水 私たちとそのすぐ後の世代は、留学を目指した学生が結構多かったのですが、その頃に要求された英語力は今よりも低いレベルでした。2000年ぐらいから、中国・韓国をはじめ、留学を希望する学生がアジアでも急激に増えたことで、受け入れる側の大学から要求される英語力がどんどん上がってしまい、昔なら行けたレベルの日本の学生が行けなくなってしまいました。

 文部科学省は英語教育の強化を声高に叫びますが、中高の英語教育の改革がなかなか進まないため、残念ながら大学に入ってくる学生の英語力もそれほど伸びていません。ヒアリングの点で多少改善はしていても、ライティング・スピーキングを含めた4技能ではあまり伸びておらず、中国や韓国の伸びに圧倒されてしまっています。ヨーロッパの非英語圏の大学生は、TOEFL iBT(R) 80、IELTS 6.5、CEFR (Common European Framework of Reference for Languages)B2と同等の英語力をもつことが常識的になってきています。もっと留学してもらうためには、中高の段階でもう少し強化してほしいなと。大学入試に民間検定試験を導入する動きには大いに賛成だったのですが、これが頓挫してしまい、すごく残念に感じていました。

 ただ黙々とスコアを上げるための英語の勉強は続きません。日本に来ている留学生との交流や海外高校との短期の交換留学を推進することが、英語を使う動機づけになるのではないかと考えています。

――そういう意味で、開成さんも中学入試で英語をやられるのかと思いましたが。

野水 英語ができることが小学生でも一般的であれば、それで評価するということもあるのでしょうけれども、まだ共通に英語のレベルが上がっているわけではないので、しばらくは実施しようと考えていません。もちろん将来的には分かりませんが。