世界に数多くのスーパーエリートを輩出してきたハーバード大学経営大学院(以下、ハーバード)では、人気グループの「AKB48」や「BTS(防弾少年団)」が教材として取り上げられている。ハーバードは2グループの「グローバル戦略」に注目しているという。
また、群雄割拠のアイドル市場において今年一躍人気グループとなったのが、「NiziU」だ。『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)を上梓した佐藤智恵氏が、ハーバードも注目するAKB48、BTSの戦略をふまえ、NiziUの強みについて解説する。

なぜハーバードは
AKB48に注目したのか

NiziUNiziUの戦略の強みとは? (画像:NiziU公式Twitterより)

 ハーバードでAKB48のグローバル戦略が教材になった背景には、日本文化に対する興味が高まっていることがあると思います。

 ハーバードの学生の間で日本への研修旅行は依然としていちばん人気です。学生は世界各国の中から研修先を選べるのですが、ヨーロッパや中国を抑えてずっと1位を維持しているのが日本なのです。ある日本人学生は「ハーバードの学生にとって日本は『絶対行ってみたい国』であり、『一度行ったらもう1回行きたい国』」(『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』佐藤智恵著、日経プレミアシリーズ、21ページ)とコメントしていましたが、それぐらい人気が高い。

 教員の間でも食品企業(亀田製菓、日清食品グループなど)、エンターテインメント企業(ソニーグループ、任天堂、DeNAなど)に注目する人が出てきていて、最近では、生活雑貨店「無印良品」を運営する良品計画の事例が教材に取り上げられています。ハーバードで取材していると、年々、日本文化に対する関心が高まっていることを実感します。

 中でも、AKB48の教材は、初めて日本のアーティストがハーバードの教材に取り上げられたという意味で非常に価値が高いです。これまで教材になったのは、ビヨンセ、レディー・ガガ、レディオヘッドなど欧米のアーティストばかり。日本のアーティストそのものがハーバードの教材になったことは一度もありませんでした。