『世界一受けたい授業』など多数のメディアで注目されている“HSP(Highly Sensitive Person)”をご存じでしょうか? 「ささいなことが気になって疲れてしまう」「真面目すぎる」など、個人の性格だと思われてきたものが、研究によって、実は「生まれつき繊細な人」が「5人に1人」の割合でいることがわかってきました。
発売から立て続けに重版し、累計10万部を突破したHSP専門カウンセラー・武田友紀氏の『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』(ダイヤモンド社刊)では、そんな生まれつきの気質を持つ「繊細さん」が、「繊細さん」だからこそ深く味わえる幸せに気づき、伸ばしていくコツを紹介しています。本記事では、同書より一部を公開します。

『世界一受けたい授業』で話題!「繊細さん」は「意識的に自分の幸せ」に目を向けようPhoto: Adobe Stock

なにを感じるかは「自分で舵をとる」

 仕事選びのご相談を受けていると、「人から相談されることが多いし、カウンセラーになるのもいいかもしれない。でも、悩みを聞くとどんより気分が落ちてしまう」という方にしばしばお会いします。

 繊細さんは共感力が強く、相手の気持ちを受け取りやすいからこそ、なにを感じるかは自分で舵をとる必要があります。

 人生には、

1.痛みを治癒する時期
2.ゼロ地点
3.愛や喜びを探究する時期

 の3つの時期があります。人間は、山あり谷あり1.〜3.を進み、幸せに向かって生きています。

 自分が痛みを抱えているときは、人の痛みにも気づきやすいし、寄り添いやすいもの。ですが、痛みが癒え、ゼロ地点を通って(深刻な悩みがほぼ解消されて)自分なりの生き方を歩み始めると、痛みの世界に留まることに違和感を感じるようになります。

 自分が悩んでいたことは遠い昔のことになり、今痛みを抱えている人に、心からは寄り添えなくなるのです。

 これまで人の痛みに目を向けてきた人も、もし心のどこかで「悲しみはもう充分」「人の悩みは、もうおなかいっぱい」と思ったら、自分の幸せに意識を向けてみてください。

 自分が痛みを経験したことで、一時的にまわりの人の痛みに目が向いていたけれど、実は楽しいことや明るいことが好きで、合ってる! という方もいて、そういった方は、相談業の中でも痛みや悩みを解消するカウンセリングではなく、よりパフォーマンスを発揮するためのコーチングが向いていたりします。

 自分の幸せを大切にすることは、今困っている人を見捨てることとイコールではありません。まずは自分が幸せに暮らし、安心や喜びをめいっぱい追求していいのです。人の痛みにひきずられすぎず、自分がこれから感じたいこと、やりたいことに素直に目を向けていきましょう。

 仕事はもちろん、趣味や家事でも、やりたくてやっていることは、まわりの人を幸せにします。好きでやっている人の仕事ぶりは丁寧で創意工夫に満ちており、いきいきと働く姿は見ていて気持ちのいいものです。

 なにより、趣味でも家事でもやりたいことをやると、心が満たされてふっくらします。自分が幸せだから、自然と、家族やまわりの人に優しくできます。自分が幸せになることで、まわりまわって幸せになる人がふえていくのです。

 感じることの舵とりをして、自分で自分を幸せにすることが、最大限、世界を良くすることにつながるのだと思います。

(本原稿は『今日も明日も「いいこと」がみつかる「繊細さん」の幸せリスト』武田友紀著の抜粋です)