2021年以降、米国経済はさらに伸びるはずです。私は2001年からホワイトハウスや国務省、財務省など、米国の政権の中枢で政策の立案・実施を担う現役官僚やOB/OGたちと仕事をしてきました。主に共和党の立場で、大統領選挙などの分析や応援もしてきました。トランプ陣営の大統領選挙アドバイザリーボードも務め、米国人のリアルな思考を理解し、米国と世界を動かす原理原則や、彼らが実践しようとしている新しい世界のルールについて日頃から肌で感じています。これら先、世界はどう変わるのか、本連載では私の著書『NEW RULES――米中新冷戦と日本をめぐる10の予測』で紹介した米国と中国、世界、そして日本の2021年以降の行く末についてご紹介しましょう。連載4回目となる今回は、コロナ禍を踏み台にさらに世界で存在感を高めようとする米国経済について解説します。
コロナ禍を踏み台に米国経済はさらに伸びる
米国は、これまでとは全く異なるスタイルで世界を率いようとしています。
米国内に目を転じるとトランプ政権は新型コロナウイルスの対策として、2.2兆ドルの財政出動を決断しました。連邦準備制度理事会(FRB)もほぼ同額の資金を供給し、市場には資金があふれています。しかも下院民主党はトランプ政権の財政出動を上回る3兆ドルの景気刺激予算案を準備しました。2020年8月時点では、共和党の主張する1兆ドルとの間で駆け引きが続いています。
この財政支出の中には、新型コロナウイルスに感染しているのかを調べるPCR検査を無料にしたニューヨーク州などへの医療関連支援も含まれています。
新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけとなって、米国の医療関連支援は民主社会主義者のバーニー・サンダース上院議員が目指した「Medicare for all(全国民に医療保険を)」を実現しつつあります。