成功し続けるには自分が変わること

川村:成功が約束された安全な橋を渡ったのではなくて、実はかなりキツめの勝負に挑んでいた。その覚悟があったからこそ、引き寄せることのできたチャンスだったと思うんです。おそらく、ずっと日本にいて「Netflixからオファー来ないかな」と待っていても、来なかったと思うんです。

川原:まったくその通りですね。

川村:おそらく最初はかなり悪戦苦闘したと思うんです。知り合いもいなかっただろうし、映像業界にコネクションもなかったんですよね?

川原:ゼロでした。

川村:さらに暴露すると、移住先にサンフランシスコを選んだのも若干違っていて、そこには映像業界関係者はあまりいません(笑)。やっぱり今住んでいるロサンゼルスじゃないと。

川原:それに気づくのに2年もかかりました(笑)。僕自身はもともと、「片づけ」と「テクノロジー」の掛け算によって、これまで麻理恵さんの本を読んでいない人たちにも片づけの価値を届けようという計画を立てていました。

 だからシリコンバレーを選んで、実際にデザインチームを組んで、アプリを作ったり、ウェブサイトを作ったりしていたんです。

 でも、やっているうちに「何かを表現することが一番重要なんじゃないか」と気づきました。それで人の本質を表現する技能に長けたクリエイターが集まるロサンゼルスに拠点を移したという経緯です。

川村:ロサンゼルスに移る時も、怖かったと思うんです。何の保証もなくハリウッドに飛び込んだわけだから。その“リスクテイクのセンス”こそ、プロデュース力だと思います。

 麻理恵さんの本が大ヒットしたのが10年前。それから先に何もチャレンジしなかったら「一発屋だったね」となりかねなかったはずです。でも二人は、あえてリスクを取ってアメリカに飛んで、次のステップに挑んだ。

 1発目のホームランと同じフォームで構えていても、2発目のホームランが打てるとは限りません。なぜならすでに球は変わっているから。成功し続けるには、自分たちが変わらないといけない。それをよく分かっている人たちだなと思いました。

こんまりが証明した「成功し続けるには自分が変わらないといけない」Photo by Ogata