「こんまり」こと近藤麻理恵は、今や「片づけ」プロフェッショナルとして、世界で最も知られる日本人の一人となりました。麻理恵さんの世界進出の戦略を手掛けてきたのがプロデューサーであり夫でもある私、川原卓巳でした。初めて書き下ろした書籍『Be Yourself』では、麻理恵さんと二人で歩いてきた「自分らしく輝く」ための道のりをご紹介しています。
今回は僕と同じように、人や作品の才能を引き出す仕事で日本第一線の編集者でもある佐渡島庸平さんとの対談「“こんまり”を支える川原さんに聞く、熱狂を生むプロデュース」を紹介します。前編では佐渡島さんがプロデュースの本質について語ってくれました(詳細は「トップ編集者が語る!「本来の姿」を見いだすことこそ真のプロデュース」)。今回はその後編(構成:宮本恵理子)。

佐渡島庸平さん(写真下)は、編集者として『ドラゴン桜』『働きマン』『宇宙兄弟』などのメガヒット作を世に送り出してきた。現在はクリエイターのエージェント会社である株式会社コルクで代表取締役を務めています

佐渡島庸平さん(以下、佐渡島):Netflixの番組制作では、ドキュメンタリーに参加する人たちの選定から演出まで、コンテンツにかなり深く関わったと聞きました。

川原卓巳さん(以下、川原):こんまりメソッドによる片づけを希望する60人超から送られてきた応募ビデオを観て、「本気で人生を変えたいと思っている人」だけを選びました。

 僕は誰よりも麻理恵さんの才能を深く理解している自信があるから、どういう人と組み合わせたらおもしろい化学変化が起こるのかを、高い精度で予測できるんです。その強みは発揮できたと思います。

佐渡島:作品の使用権を許諾するだけではなく、撮影現場で番組の中身に対してもかなり深く入り込んだというのがすごいですね。しかも、こんまりさんのブランド価値を高めることと、コンテンツとしての質を高めることを両立させながら。

 僕が経営するコルクでも、海外との交渉では、プロデューサーとして入れるかどうかを条件にすることが多いんですが、コンテンツパワーが強くないと、なかなか厳しいというのが実情です。

川原人に恵まれたことも大きかったと思います。テレビ制作会社の社長でもあり、ハリウッドの有名プロデューサーであるゲイル・バーマンという女性が、初期段階から「こんまりメソッドは世界中の人に伝えるべき」と理解してくれていました。そして「マリエが最高の表現をするには、タクミがプロデューサーとしてここにいてくれたほうがいい」と言ってくれたんです。

佐渡島:それだけ本質を理解していることが周囲にも伝わったのでしょうね。お二人は夫婦としても仲が良いし、公私共にパートナーとしてうまくいっている。それはきっと、互いに自然体の「Be」を保てているからだろうなと感じます。

川原:僕が一番大事にしているのは、彼女がときめく人生を送れているかどうかです。まずは彼女が、一人の人間として幸せかどうか。仕事はその次です。

 だから、もし個人として麻理恵さんが幸せじゃないと判断したら、迷わずに仕事を縮小する。どんなにいい条件でも、感謝をしながら手放します。

佐渡島:やらないことを決めるって重要ですよね。それもときめきで取捨選択するこんまりメソッドに通じそうですね。