フロンティア・ラボ社長の渡辺忠一氏(右から4人目)(同社提供・海外代理店でのトレーニングにて)

NASAが火星探査車に搭載、生命起源を探る研究に活用

「ガスクロマトグラフ」という装置がある。これは気体や液体中の成分や濃度を測る、最も一般的な測定装置の一つだ。大半のメーカーや研究機関ではガスクロマトグラフと質量分析計(検出器)を組み合わせた装置を導入している。

 しかし、この装置だけでは気体と液体しか測定できない。そこで、固体を加熱してガス化する熱分解装置(パイロライザー)が必要となる。この熱分解装置で、国内シェア90%、海外シェア50%を握るのが福島県郡山市に本社を置くフロンティア・ラボである。

 同社製品はアメリカ航空宇宙局(NASA)やグローバルメーカーに導入されている。NASAではスペースシャトル内の作業環境モニタリングにも採用され、直近では火星探査車に搭載されて、生命の起源を探る研究にも活用されることになった。全売り上げの6割を海外で占めている。

パイロライザー(EGA_PY-3030D_500)(同社提供)

「加熱して臭いや煙の出る物質はすべて分析対象です。しかも試料はたった0.1ミリグラムで済みます。そのため、研究開発や品質管理で使われるだけでなく、鑑識捜査などの犯罪科学や法科学、絵画や工芸品など文化財の調査にも利用されています」と、同社副社長で、創業者の長男の渡辺壱は語る。わずかな試料しか採取できないような名画や国宝の鑑定にも利用され、古い漆工芸品の漆産地の割り出しにも成功しているという。

創業当初から世界一を目指した

 パイロライザーを開発した創業者であり社長の渡辺忠一(72歳)は「創業当初から日本一ではなく、世界一を狙っていた」と話す。