鬼ヶ島から財宝を持ち帰った桃太郎を待っていたのは、毎年の確定申告でした。果たしてこの財宝はどう申告したらいいのか、鬼退治に使った「きびだんご」は経費として認められるのか――。
そんな疑問にこたえる新著『桃太郎のきびだんごは経費で落ちるのか?』では、知らないと損をする、でも説明されてもわかりにくい。そんな税金の世界を、誰もが知ってる昔ばなしでシミュレーション。ストーリー仕立てで楽しみながら、税金の知識が身につくと早速評判になっています。
こちらの連載では、本文の中からご紹介してきます。今回は、「桃太郎」の1回目になります。(イラスト・佐々木一澄)

「鶴の恩返し」の1回目はこちらになります。

鬼ヶ島から持ち帰った財宝には税金がかかるの?

【あらすじ】
おばあさんが川で洗濯をしていると、
川上から大きな桃がどんぶらこと流れてきました。
桃を持ち帰り、おじいさんと2人で割ってみると、中から元気な男の子が。
「桃太郎」と名付けられた男の子はやがて成長し、
鬼ヶ島へ鬼退治へと出かけます。
おばあさんが持たせてくれたきびだんごで
犬・猿・キジが仲間になり、鬼ヶ島へ。
見事鬼を退治した桃太郎一行は、
鬼ヶ島から財宝を持ち帰ったのでした。

高橋税理士(以下「高橋」) ……これでよし、と。やれやれ、やっとひとつ片付いたぞ。小沢くん、そろそろ3時だからお茶にしようか。

アシスタント小沢くん(以下「小沢」) ふぁい、ほうひまひょう。

高橋 もう何か口に入ってるけど。

小沢 あ、ひとつどうです? 近所の和菓子屋さんでお団子買ったんです。

高橋 へぇ~。みたらし団子だ。美味しそうだね。

小沢 じゃぁお茶入れますね。それにしても、あの『鶴の恩返し』のお客さん、なんだったんですかね。

高橋 あれねぇ。気になってこの辺のお店に聞いてみたんだけど、昔話コスプレの店なんて聞いたことがないそうだよ。

小沢 そうなんですか。ひょっとして、テレビのドッキリだったりして。

高橋 うちの事務所が有名になるならドッキリくらいいけど、そろそろネタばらししてほしいなぁ。それともだいぶ悪意のある番組なのか……。

?? ごめんください。

小沢 あ、お客さんですね。はーい、なんでしょう?

おばあさん すいません、高橋税理士事務所さまというのはこちらでよろしかったでしょうか。

小沢 (バタン)

高橋 ダメだよドア閉めちゃ! どうしたの?

小沢 い、今……おばあさんと桃太郎がいたんですよ……着物と鎧(よろい)が混じったような服着て、「日本一」って書いた“のぼり”を持ってて……。

高橋 それは……完全に桃太郎だね……。

小沢 まだドッキリが続いてるってことですか……?

高橋 とりあえず僕が出ようか。……あ、すいません、急に閉めちゃって。とりあえずお2人とも中にどうぞ。こちらにお座りください。

おばあさん よかった、こちらで大丈夫だったんですね。

高橋 ちょっとびっくりしちゃいましてね……。あ、“のぼり”はそこの傘立てにお願いします。で、本日はどんなご用件で?

おばあさん 税金のことで相談にうかがいました。『鶴の恩返し』の方に聞いたんです。こちらに大変親切に相談に乗ってくださる方がいらっしゃると。ですから、私たちの悩みも聞いていただきたくて……。

高橋 あの方とお友達なんですね。それで、こちらの方はやはり、その……。

おばあさん 桃太郎です。

高橋 ですよね。

小沢 こんにちは!

桃太郎 ……。

小沢 こーんにーちはー!

桃太郎 ……。

高橋 無視されてるね。

おばあさん お気を悪くなさらないでください。この子はその……私たちと動物にしか心を開かなくて……。

小沢 桃太郎にそんな設定ありましたっけ!?

おばあさん 設定もなにも、こういう子ですから……。

高橋 言われてみれば確かに、おじいさんおばあさん以外の人間と桃太郎が会話している場面を見たことがないな……。

小沢 動物とはあんなにアクティブにしゃべるのに?

高橋 会ってみないとわからないことってあるね。それで、ご相談というのは?

おばあさん 実は、この子が鬼ヶ島から持ち帰った財宝のことなんです。『鶴の恩返し』の方がいうには、「稼いだお金には税金がかかる」んだとか。ということは、あの財宝にも税金がかかるのではないかと……。

高橋 なるほどなるほど。それで心配になってこちらに。

おばあさん はい。ただ、あの財宝は、もともと鬼たちが私たち人間から奪い取ったものです。盗まれたものを取り返しただけなのに、税金を取られるんでしょうか?

(次回へ続く)