Q1. 新型コロナ感染症が拡大するなか、いま新規事業にどのようなトレンドを感じているか

 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの企業がかつてないほど急激な変化を迫られており、新規事業に対する風当たりも変化してきている。顕著な動きの1つは、いわゆる「飛び地」でゼロイチの収益創出を狙うよりも、よりコア事業に近い領域で事業をつくることの優先度が高まっていることだろう。これは極めて自然な流れだ。というのも、ゼロイチの事業をそれなりの規模に育てるには相当な時間がかかるのに対し、既に企業を支えているコア事業を10%底上げするという目標の方が、短期的な経済的インパクトが大きく、活用できるアセットも豊富だからだ。

 また、デジタルを絡めることはもはや必須になっていると考えている。コロナの影響を受けて、あらゆる業界でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が加速していることは以前の記事でも述べた。オペレーションの改善であれ、顧客接点の見直しであれ、まずはデジタルを絡めてコア事業をきっちりと強化し、その過程で新規事業にも繋げようとする流れが強まっているのではないだろうか。

 新たなプロダクトを世に出して終わりではなく、変革をより包括的に考える動きも出てきた。組織、人材採用・育成、意思決定のプロセスまでトータルで変えていかなければ、変革は長続きしないということに、多くの大企業が気付いている。「出島」組織の効用は過去にも述べたが、本社から完全に独立したガバナンス体制やカルチャーを持つ出島は、まさに包括的な変革を推進するための有力な手法だといえる。

 このように、「コア事業重視」「収益性の重視」「デジタル化の加速」「組織・人材等を含むトータルな変革推進」が、コロナ下における新規事業のキーワードである。