Q2. DXはバズワードに過ぎないのか

 最近「DXはバズワードだ」という声をよく聞く。DXはもう古い、中身がないという意味だと思うが、一方でDXを真摯に実施し、効果を上げている企業は確実にある。バズワードであろうがなかろうが、DXをやり切ることの重要性に変わりはなく、企業の生き残りがかかっているのだ。

 なおかつ、本当にDXを実現できている企業は一握りだ。ボストン コンサルティング グループ(以下BCG)の調査によると、日本企業の14%しかDXに成功しておらず、国際的にみてもこの水準は低い。私の個人的な感覚では、実態は14%よりも低いのではと感じることもある。

 DXをやり切るには、少なくとも2~3年にわたり、謙虚かつ真摯に取り組む必要がある。話題のデジタルツールを導入し、オペレーションを部分的にデジタルに置き換えれば済むものではない。

 変革はトータルで考えることが重要だと先ほども述べた。なかでも、DXにおいて人材獲得・育成の議論は後回しにされがちだ。そもそもDXに必要な人材像があいまいな企業も多い。以前の記事で、DXに欠かせない3つの職種を紹介したが、たとえばプロダクトマネージャーのような職種は、ビジネスマンの誰もが身に着けるべきベース・スキルの1つになると私は考えている。しかし、これは一朝一夕に獲得できるものではない。既存社員のデジタル・ケイパビリティを高めるだけでは限界があるため、新卒採用や中途採用の方法から抜本的に変えていくべきだ。

 DXを進めるうえで、重要な考え方をご紹介しよう。BCGでは、テクノロジーと人材・組織を両輪とした「バイオニック・カンパニー」の構築を提唱している。従来型の企業が、イノベーションを継続的に起こすことができる企業に生まれ変わるには、テクノロジーの変革だけでは不十分であり、人材・組織面でもいくつもの変革を実施する必要がある。

 そのための第一歩は、自社のパーパスを根本から再定義することだ。パーパスとは、一言で言えばミッション(What)、ビジョン(Where)を超えた企業の存在意義(Why)だ。自社はなぜ社会に存在するのかというパーパスを結晶化し、それを体現する活動としてDXを位置づけることができれば、単なるバズワードではない、骨太な方針を打ち出すことができるだろう。