世界的な脱炭素シフトを受けて、経済産業省が車載電池向けに1兆円規模の巨額支援を検討していることがダイヤモンド編集部の調べで分かった。電気自動車(EV)の基幹デバイスとなる車載電池では、中国CATL(寧徳時代新能源科技)を筆頭に中韓勢による激しい投資競争が繰り広げられている。政府の金融支援により、グローバル競争で遅れをとる日の丸電池が反撃に出る。果たして、勝算はあるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 新井美江子、浅島亮子)
世界一、中国CATLの後塵を拝する日の丸電池
「グリーン基金」大盤振る舞いの成否は?
遅れに遅れたというべきか。経済産業省が、車載向けリチウムイオン電池に1兆円規模の巨額支援をする方向で検討に入ったことが分かった。
昨年末に、菅政権は「2050年カーボンニュートラル(炭素中立。二酸化炭素の排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすること)に伴うグリーン成長戦略」を提示したばかり。この実行計画の中で、政府は過去に例のない2兆円の「グリーンイノベーション基金」を創設し、野心的なイノベーションに挑戦する企業を今後10年間、継続して支援するとしていた。
今回の車載電池の金融支援も、このグリーン基金の枠組みを通じて行われる。