脱炭素#10
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米国の「SPAC(特別買収目的会社)市場」が異様な盛り上がりを見せている。その中心的存在となっているのが、EV(電気自動車)や再生可能エネルギーを主力事業とするベンチャーだ。「第2のテスラ」候補となる企業はどれか。特集『脱炭素 3000兆円の衝撃』(全12回)の#10では、有望ベンチャー10社のリストと共にその実像に迫る。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

グリーンバブルで巨額マネーが脱炭素へ流入
過熱する米国「SPAC」市場の玉石混交

「株式市場は玉石混交。いまは脱炭素の追い風で一様に評価が高まっているが、技術の裏付けがない企業は必ず脱落する」。ある証券会社幹部はそう警鐘を鳴らす。

 まさに資本市場は「グリーンバブル」だ。

 脱炭素の本丸である電気自動車(EV)では、米テスラの株価がわずか1年で5倍近くまで高騰し、いまや時価総額は85兆円に到達した。それだけではない。EVやバッテリー、再生エネルギーなどを扱う新興企業には多額の金が流れ込んでおり、売上高が1ドルにも満たない状態で数千億円規模の時価総額を付けることはもはや珍しくない。

 米国ではバイデン大統領が2050年のカーボンニュートラル(炭素中立。二酸化炭素の排出量と吸収量をプラスマイナスゼロにすること)に向けて、2兆ドル(約210兆円)規模に及ぶ気候変動対策を打ち出した。それに加えて、欧州のグリーンディールや中国の脱炭素計画など世界がグリーン一色に染まる中、世界中で脱炭素の「有望企業」に向けた投資が過熱している。

 空前の低金利環境による金余りも脱炭素銘柄への資金流入の追い風だ。「一部のハイテク系グロース株に一極集中していた投資マネーが行き場を探していたところで、タイミングよく“脱炭素”がトレンドとなり、環境銘柄が有望投資先として急浮上した」(岡三証券の小川佳紀投資戦略部長)のである。

 とりわけ、新興企業の資金調達を大きく後押ししているのが、ここ1年で急増した「SPAC上場」という手法だ。

 SPACとは、未上場企業を買うためだけにつくられた特別買収目的会社のこと。あらかじめ上場しているSPACがベンチャーなどを合併することで、実質的に未上場企業を上場させる手法のことをいう。未上場企業側にとってみれば、迅速な上場が可能になるのが最大のメリットだ。20年の米国市場のIPO(新規株式公開)では約8兆円がSPACによるものだという集計もあり、近年類を見ない金額に膨らんでいる。

 だが、通常のIPOの流れとは違うSPACで上場する企業の中には、成長性に怪しい点を指摘される企業があるのも事実。実際に、SPAC上場した企業の中には「技術詐称」を疑われ、株価を大きく落としたところもある。

 それでも、市場から注目を集めていることだけは間違いない。果たして、SPAC上場する企業群の実力値はいかほどなのか。本稿では、事業領域を「脱炭素」関連に限定し、SPAC市場に名を連ねる「上場10社リスト」を掲載した。この中から「第2のテスラ」は生まれるのだろうか。