PwCコンサルティングは、経営統合による組織拡大を経て、最大手のデロイトトーマツと肩を並べる会計系コンサルファームとしてのし上がってきた。グループ内の監査法人の顧客が少なく、利益相反リスクが小さいことを追い風に、どうライバルファームに競り勝つのか。特集『コンサル新序列』(全8回)の#7では、PwCコンサルティングの鹿島章会長が、コンサルの過去と未来を語る。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
PwCコンサルティングの会長が振り返る
25年間の日本企業「グローバル化」の変遷
――鹿島会長は1995年に会計士からコンサルティング部門に転籍して以来、25年ほどコンサルに携わっていますが、近年の経営環境の変化をどう感じていますか。
経営環境は相当変わっています。
90年代半ばは会社の決算は単体がメインで、連結財務諸表は補助的な存在でした。当時は先進的な会社以外、グループ経営という考え方はほとんどなかったように思います。
しかし2000年を越えると、日本企業に連結決算やグループ経営という話が出てきた。そこにERP(統合基幹業務システム)のブームが重なって、もう少し広い範囲で経営をやらないといけないというアジェンダが増えました。
10年を越えると、日本企業がちょっと自信を失い、(海外を)追い掛ける立場になったことで、グローバルを強く意識する企業が増えましたね。
私たちがコンサル事業を始めた当初は、欧米のベストプラクティスについて海外で話を聞き、日本語の資料を作って日本の企業に説明すると、「中身は分かったけれど、それは米国の話ですよね」と、自分たちが何かに取り組まないといけないという認識は薄かったような気がします。
これは、当時の日本企業が国内の競合他社と比較し「そんなに負けていないので大丈夫だ」と思っていたからです。それが10年を越えると、海外の事例を教えてほしいという要望が出てきたことには、一番違いを感じます。
場合によっては、「もう日本語の資料はいりません」と言う会社もあるし、極端な例だと「実際に海外で取り組んだ人を日本に連れてきて話してもらっていいですか」という企業もある。
先進的な日本企業は、グローバルなプロジェクトに日本人だけで取り組んでもうまくいかないと分かっています。だから海外の優秀なプロジェクトマネジャーを連れてきて変革に取り組もうとする。
私たちにはグローバルネットワークでプロジェクトを支援できる体制があるので、それに対する期待も生まれているように思います。
それから90年代〜2000年代の日本企業は、何回も提案しに行っても「大体分かりました。後は自分たちでやります」という自前主義が多かった。しかし、そのスピード感だと(競合に)どんどん引き離されてしまうので、「一緒に入って進めてくれ」というニーズが強くなってきたことも大きな変化だと感じています。
――他のコンサルファームにはないPwCの強みは何でしょうか。
私もよく社内で言っていますが、コンサルは局地戦の集合体なんです。