PwCあらた監査法人は旧中央青山監査法人時代の不祥事を受け、PwC主導で2006年に発足した監査法人だ。多くの監査顧客が他法人に流出し、今も四大の中で監査の規模は劣後する半面、非監査ビジネスの飛躍的な拡大が続く。特集『激動!会計士』(全12回)の#11では、旧中央青山出身の会計士で、PwCジャパンを率いる木村浩一郎代表に、“異形”の成長の先に見据えるものを問うた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
PwCトップが語る新時代の役割と成長戦略
コロナ禍で求められる三つの「Re」
――新型コロナウイルスの感染拡大により、日本企業のデジタルトランスフォーメーションが進むなど新しい変化があります。この時代、PwCジャパンはどういう役割を果たせると考えていますか。
Repair(修復)とRethink(再考)、そしてReconfigure(再設定)の三つの行動が今、求められています。
Repairについては、コロナ禍によって、まず足元で修復しなければいけない部分が出ています。それは従業員の安全の確保や、資金繰りが難しくなっているところであれば資金調達、あるいは傷んでいるバランスシートの修復などです。そうした企業に対して、事業再生など私たちもビジネスとして貢献していく。
Rethinkというのは、より中長期的に考えたときに、気候変動への対応といった大きなトライをしなくてはいけない。また、米中あるいは米国内での分断といった混乱も起きています。この環境下で、日本企業が勝ち残っていくための支援も柱の一つに据えています。
それからReconfigureですが、今言ったことに対応するための人材構成をどう変えていくかという課題や、デジタル化が進む中で事業ポートフォリオをどう変えていくかという課題、あるいはテクノロジーのプラットフォームをどうつくるかという課題が企業にあります。
企業によって優先度は違いますが、これらを組み合わせて結果を出していくという点に、PwCが最も貢献しなければいけない。
これらの取り組みについて、企業や組織には説明責任を果たすことが求められています。そこに監査を含めた保証業務が関わってくるという、大きな捉え方をしています。
――他の四大会計事務所と比較したときに、PwCジャパンの強みや違いはどこにありますか。