「業務スーパー」の運営会社、神戸物産の沼田博和社長は、31歳の若さで、創業者である父、昭二氏からトップのバトンを受け継いだ。特集『「業務スーパー」の非常識経営』(全7回)の#6では、神戸物産を安定成長させ株価を上げ続ける沼田社長を直撃。「地域2番店を目指す」と掲げる理由を聞いた。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)
2020年はメディア露出と巣ごもり需要で
3年分の売り上げの伸びが1年でできた
――全国900店舗を展開し、2020年10月期決算では売上高3408億円、営業利益238億円と8期連続の増収増益です。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要の影響は大きかったのでしょうか。
20年10月期は(業績が)伸び過ぎました。3年分くらいが1年で伸びています。今期の最大の目標は、既存店売上高(神戸物産の場合は業務スーパー店舗仕入れ額のこと)を前年割れさせないことですね。(前期は)メディアへの露出が増え、消費増税の追い風もありました。われわれには元々災害時の備蓄需要がありますので、コロナ禍による初回の緊急事態宣言のときには、かなりの買いだめ需要で特需が生まれました。
――業務スーパーの商品は、大容量など見た目にもインパクトのある物が多いですね。
一般的なスーパーや国内メーカーの商品は、どちらかというと今は小容量化の方向です。業務スーパーも国内調達の物はそうなりつつあります。ですが、グループ工場の製品や輸入物は、従来からのコンセプトを守っていて、大型で大袋にして、1g当たりの単価が安くなるよう徹底しています。そのため、今まで以上に他社との差が開いて目立つのでしょう。
――海外から仕入れる物も、見たことのないようなアジアの調味料や加工食品など、個性的な商品が多いです。
(海外プライベートブランドの)開発スタッフの出身国がさまざまで、自分の欲しい物を買ってくるんですよ。中国人のスタッフならば、中国では日常的に食べるけれど日本ではあまり見掛けない物とか。日本人だと「これはちょっと」と思う物でも、店で売れることがあるので、受け入れられる範囲でまずは売ってみようという姿勢なんです。
――日本では売れない物もあるでしょう。
味がどんなに良くても、お客さまに受け入れられなかった商品は、最初のコンテナが入ってきて数カ月でスパッとやめます。こういう物もかなり多い。