2014年に新築された校舎は、漫画「ドラゴン桜」の舞台としても描かれている。一番の特徴は、他校ではあまり見かけない中高の教員が一堂に会する広々とした職員室だろう

聖光学院はこれまでユニークな人材を世に送り出してきた。生徒を育むために不可欠の要素とは何か。経営的な視点も交えながら、工藤誠一校長が私学の果たす役割について語る。(ダイヤモンド社教育情報、撮影/平野晋子)

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工藤誠一(くどう・せいいち)聖光学院中学校・高等学校校長

聖光学院中学校・高等学校校長。学校法人聖マリア学園理事長。神奈川県私立中学高等学校連合会理事長。1955年横浜生まれ。聖光学院中学校・高等学校(第11期)卒業後、明治大学法学部と政治経済学部を経て同大学院政治経済学研究科修了(政治経済学修士課程単位取得修了)。母校で社会科の教鞭をとるかたわら、38歳から6年間、事務長も兼務。2004年、日本人として初の校長に就任。一昨年から、同じ学校法人のさゆり幼稚園の園長も兼務している。

変わる教員と学校の役割

森上展安・森上教育研究所代表
[聞き手] 森上展安・森上教育研究所代表
1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、1988年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。

――この前、聖光学院の動画を見ました。男子校としては女性の先生が多い印象を受けました。

工藤 英語とかいろいろな科目をお願いしています。今後、もっと多くの優秀な女性の先生に入ってきてもらいたい。男子校なので、ジェンダーフリーの観点からも。

 この前、情報の先生を新しく採用しました。 NTT出身で、教員免許も持つ女性です。情報という科目の強化に関して、その先生には「常にアンテナを高くし、ファシリテーターとしての役割を担ってください」と言っています。

 1人1台というのが文部科学省の方針ですが、学校が端末の保守まで責任を持つとどうなりますか? 1000人生徒がいる学校でしたら保守も1000台分必要です。その端末の面倒を誰が見るのか。先生にはできません。それだけで疲弊してしまいます。

――教員の役割も変化していきそうですね。

工藤 絶えず“新しいものを”といくら頑張っても、若いうちはいいですが、5年もたったら時代の方が追い越していきます。情報の授業でも、オンラインで生徒にプログラミングをさせ、その様子を見守るといった形に思い切って切り替えました。

 学校に縛り付けているだけでは生徒は伸びません。学びの機会があれば自由に参加できるようにすることも、これからの学校には求められると思います。生徒にやらせているので、僕もオンラインで「レアジョブ英会話」をやっています。ちょうど3年目。自分でもよく続いているなと(笑)。僕はわがままだから、続いているのは英会話とジムに行くことだけ。どちらも一人で好きな時間にできますから。

――グローバル教育を進める上での必然性からも、英会話の勉強を継続されている?

工藤 ほぼ休まず毎日勉強しています。マレーシアから呼んだインターンが日本語をしゃべれないので、英語で話さざるを得ない。英語を学び直してみて分かったことは何か。「今の日本の学習時間で英語が話せるようになることは、100%ありません」ということ。もっとやらないとダメです。フィンランドは英語のアニメを吹き替えでなく、そのまま見せているそうです。子どもは動画と一緒に英語を覚えるんですね。

――校長先生が熱心だと、生徒さんも奮起するのではないですか?

工藤 やる子は毎日やっています。そして効果が出ています。英語ディベート同好会は、年末に行われた即興型英語ディベート(PDA)高校生全国大会で優勝、世界大会への出場権を手にしました。

 もう一つ、全国中学・高校ディベート選手権(ディベート甲子園)でも上位入賞しています。