初の日本人校長として就任してから17年目。幼稚園の園長も兼ねて日夜エネルギッシュに活動している工藤誠一校長

工藤誠一(くどう・せいいち)聖光学院中学校・高等学校校長

聖光学院中学校・高等学校校長。学校法人聖マリア学園理事長。神奈川県私立中学高等学校連合会理事長。1955年横浜生まれ。聖光学院中学校・高等学校(第11期)卒業後、明治大学法学部と政治経済学部を経て同大学院政治経済学研究科修了(政治経済学修士課程単位取得修了)。母校で社会科の教鞭をとるかたわら、38歳から6年間、事務長も兼務。2004年、日本人として初の校長に就任。一昨年から、同じ学校法人のさゆり幼稚園の園長も兼務している。

新型コロナ禍の2021年入試

森上展安・森上教育研究所代表
[聞き手] 森上展安・森上教育研究所代表
1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、1988年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。

――今年の入試で聖光学院は出願者を2割近く減らしました。なぜでしょう。

工藤 2日の第1回が623人、4日の第2回が622人の出願で、いずれも前年比16%減です。新型コロナの影響なのか、東京からの受験者が減りました。

 東京での併願校は、かつては麻布でしたが、今では開成が多い。1日開成、2日は男子校ならうちで、共学校なら渋谷教育学園渋谷というパターンです。麻布は栄光学園との併願が多くなりました。

――在校生も東京からが多いのですか。

工藤 毎年第1回の合格者は220人前後(2021年は221人)ですが、圧倒的に東京からの受験者が占めています。

 今年も算数の平均点は48点台でしたが、それでも90点以上取る受験生はいっぱいいる。「何でこの試験で92点とか取れるのか」と見ると、みんな東京からの受験生。それだけ地元・神奈川で聖光を希望する生徒が入りづらくなることは否めません。

 経済格差と教育格差には相関があるといわれることがあります。確かに、うちの在校生にも豊かな層が多いといわれるJR山手線内の家庭の子どもが増えてきました。

――その傾向は続いているのですか。

工藤 電車の相互乗り入れなど交通の便が発達したので、県単位というくくり方ではなく、首都圏という領域の中で学校選びが行われる時代に変わってきました。

 一方で、どうしても私学というのは、ある程度のゆとりある層が子どもを通わせていることは否めないのかなと思います。特に小学校は。

――総務省の調査では、私立小学校に通う子どものいるご家庭の半分は世帯所得が1200万円以上でした。

工藤 それはそうですね。夫婦2人で稼いでいると 2000万円くらいになる家庭も多いのではないですか。 

――私立の小学校でもアフタースクールをやっているところがほとんどですから。

工藤 私は横浜YMCAの理事長もやっていますが、青山学院横浜英和、聖ヨゼフ、横須賀学院などキリスト教系の学校など、アフタースクールを結構頼まれています。昔は「お母さまが参加する行事もたくさんございまして」なんていう感じで、私立小学校では専業主婦を前提にしていました。もう時代が変わっています。