ポスターで啓蒙活動
今後は他の部門にも対象拡大へ
客観的なデータによって、優れたマネジメント手法は「コーチング型」だと証明できたことで、いよいよ取り組み始めたのがマネジャーへの啓蒙活動だ。ただし、コーチング型のマネジメントスタイルを浸透させるために、「やらされ感」があってはいけない。そこでまず行ったのが、優れたマネジャー像を現場のマネジャーが理解しやすい形にして紹介する、ポスターの作成だった。
同社では、人事データの分析によって分かった事実を「5つのFACT」という形で、紹介している。
次に、実際にマネジャー同士がどうやって変わっていけばいいかを話し合うワークショップへの参加を促すため、ポスターにはQRコードを貼って直接申し込みができるようにした。結果、約100人のマネジャーが参加して話し合ってもらうことで、優れたマネジャーの行動の事例が集まった。そして、それを全社的に行っている1on1で部下の自律性を引き出すためのヒントとして、提供するなどしているという。
「今後この調査に関しては、前回から時間がたっていること、前回はエンジニアに絞って行われたことから、近いうちに営業部門やコーポレート部門にも対象を広げて、データをアップデートしていく予定だ」(佐竹部長)
これによって、今も一部残る「ストロング型」のマネジャーに対して、上司が注意を促しやすくなるのではないかと、佐竹部長も期待を寄せる。
マネジメントスタイルとしてコーチング型が望ましいと分かったとしても、どのようなコーチングスタイルがより部下の自律性を高めるかは、企業や組織、ひいては部署によっても異なるだろう。
「変化に対応するヒントは、マネジメントの科学」だと、HR Analytics &Technology Labの入江所長も語るように、これからは人事データを活用することで、素早く効果的で確率の高いマネジメントスタイルを実現できるようになるのではないか。