保険の裏 営業の闇#2Photo by Toshiaki Usami

2020年10月に発覚した、元営業職員による19億円超に及ぶ金銭詐取事件が明らかになった第一生命保険。生保営業に対する社会的評価を地に落とす事件を引き起こした企業のトップとして、今何を語るのか。特集『保険の裏 営業の闇』(全21回)の#2では、稲垣精二社長の覚悟を聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

19億円超の金銭詐取事件
失った信用をどう回復させるのか

――昨年10月に発覚した元営業職員による19億円超の金銭詐取事件は、第一生命保険創業者の矢野恒太氏が残した「最大たるより最良たれ」(※)という言葉とは真逆の行為だったと思います。トップとして今、どのように考えますか。

 2020年12月の記者会見でもご説明しましたが、お客さまの強い信頼を逆手に取るような事案でした。

 元営業職員は第一生命の中で長年、トップセールスでした。お客さまから全面的に信頼を頂いていたからこそ、18年間に及ぶ長期間にわたって行われた金銭詐取だったと思います。

(※第一生命保険創業者の矢野恒太氏は、分かりやすい「規模」ではなく、時代とともに変化する「品質」を追い求め続けることが、社会からの信頼につながると考えていた。矢野氏が残した代表的な理念)