生命保険会社42社と乗り合い代理店、業界団体、そこに金融当局も加わるという異例の会合が昨年始まった。テーマは、乗り合い代理店の業務品質や評価方法について。いわば“顧客思い”の業務品質とは何かについて、業界を挙げて議論したわけだ。特集『保険の裏 営業の闇』(全21回)の#17では、その中身を見てみよう。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)
乗り合い代理店、生保42社、業界団体
金融庁も参加した業務品質SG
昨年6月半ばにスタートした、「代理店業務品質のあり方等に関するスタディーグループ(以下、SG)」が、いよいよ大詰めを迎えている。
このSGでは、金融庁が掲げる顧客本位の業務運営をさらに推し進めるために、乗り合い代理店13社と二つの業界団体、消費生活相談員協会、生命保険会社42社、そしてオブザーバーとして金融庁も参加し、乗り合い代理店における業務品質の在り方について議論してきた。
そして昨年来、12回の会合を経て、生命保険協会が業務品質評価項目を取りまとめた。そして、生保協が、近くSGのメンバーである乗り合い代理店13社を訪問し、「トライアル」という形で、実際に評価項目の検証作業を行うことになっている。
乗り合い代理店の業務品質――。言葉で言うのは簡単だが、保険ショップに訪問販売、全国展開する広域の大型代理店から中小の代理店に至るまで、その会社形態はさまざまだ。また、生保協によれば、対象となる乗り合い代理店数は、実に8万店にも上るという。
言い換えれば、それだけ世の中に乗り合い代理店があるわけだ。だが、その歴史は浅く、保険業法で禁止されている再委託に該当するとされた委託型募集人や、高額な手数料を支払う生保を優先する偏向販売などの問題が、取り沙汰されてきた。
その後、2016年に施行された改正保険業法によって、情報提供義務と意向把握義務、比較推奨販売、それらを実行するための体制整備義務が定められた。それにより、乗り合い代理店業界は大きな転換点を迎えることとなった。
また、それと同時期に金融庁が「顧客本位の業務運営(FD)」を宣言し、業務品質に対する機運が急速に高まった。いわば、業務品質の高い、“顧客思い”の代理店が優遇される時代となった。
これにより、乗り合い代理店の業務品質は向上に向かったが、代理店によって温度差があるのに加え、保険会社側も個社ごとに異なる業務品質を求めてくるなど、必ずしも足並みがそろっているとはいえない状態だった。
そうした中、業界を挙げて業務品質について議論し、ベースとなる業務品質基準を作ることになったのが、このSGというわけだ。
むろん、それぞれ立場が異なることから、ときに議論が白熱し、評価項目は何度も修正されたが、ここにきてようやく一定のめどが付いた形だ。以下、ポイントを見ていこう。