保険の裏 営業の闇#16Photo:Diamond

最後発の生命保険会社としてスタートした、はなさく生命保険。最初に投入した医療保険が好スタートを切ったが、住友生命保険傘下のメディケア生命保険の逆襲に遭い、販売目標は未達となった。特集『保険の裏 営業の闇』(全21回)の#16では、次の戦略を増山尚志社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

代理店マーケットの栄枯盛衰
目標10万件に対して8割弱

――乗り合い代理店マーケットは、想像した以上に売れ筋商品の入れ替わりが激しく、最近では、住友生命保険傘下のメディケア生命保険が商品改定して、投入した医療保険が好調です。これまでを振り返ってみて、いかがでしょうか。

 開業時に2カ年計画を立てました。正直なところ、やってみないと分からないことが多いだろうと思っていましたが、ご承知の通り、初年度の2019年度は想定以上の業績となりました。20年は新型コロナウイルス感染症のまん延がありましたが、コロナというよりは、他社さんの影響を大きく受けました。新契約獲得の目標件数は10万件を掲げていましたが、実際は8割弱といったところです。

 ただ、一番気にしていたのは、大規模なシステムトラブルなどを起こし、お客さまにご迷惑をお掛けしてしまうことでした。そうした事態は起こらずにオペレーションできています。

 また、昨年取り組んだのは、新聞広告などを使って通販事業を立ち上げたことです。そして、昨年7月からは、インターネットで手続きが完了する仕組みの開発に取り組んでおり、今年の上半期のうちには開発を終えたいと思っています。

――通販は好調なようですね。

 想像していたよりも比較的好調です。大口の契約ではありませんが、自分に万が一のことがあった際、周りに迷惑を掛けたくないというニーズがあることが、改めて分かりました。

――やはり通販の年齢層は高めですか。

 そうですね。70代の方がメインです。シニア層には、通販というインフラとの親和性が高いのに加え、少子高齢化が進むことで、シニアの方々に向けた保険商品、そうした層をカバーしていく必要があるだろうと考えていました。

――その年齢層の方は、日本生命本体で、というイメージでしたが、はなさく生命もターゲットにするということですか。

 特定のセグメントに偏るよりは、比較的分散しておくことも必要だと考えています。20年度は顧客層が分散しました。

――冒頭のお話に関連しますが、ほけんの窓口の販売データを見ると、「はなさく医療」の出足はすこぶる好調でしたが、今ではメディケア生命の医療保険が断トツですね。どのようにご覧になっていますか。