保険の裏 営業の闇#6Photo:kinpouge05/gettyimages

 北海道産小麦のパイオニア的存在として知られる某製粉会社。東京都内の有名なパン屋さんがこぞって同社の小麦を使用するほど、小麦の質には定評がある。ところがだ。その会社を舞台に、節税保険を巡るドタバタ劇が巻き起こっていた。特集『保険の裏 営業の闇』(全21回)の#6では、その舞台裏で演出を手掛けたE保険プランニングと実は保険会社の営業職員だったという経営コンサルタントの手口に迫る。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

北海道産小麦のパイオニア的存在に
突然振り込まれた1億円超のお金

「なんだ!このお金は……」

 2019年の暑い夏。北海道産小麦のパイオニア的存在として知られる某製粉会社の社内は、一時騒然となった。突然、会社の口座に1億3400万円もの大金が振り込まれたからだ。

 調査の結果、振り込んできたのは、外資系生命保険会社のジブラルタ生命保険だと判明。ジブラルタといえば、この会社が保険を契約している保険会社のうちの一社であるが、いったいなぜ、こんな大金を振り込んできたのか――。

 これをきっかけに保険契約の全貌を調べていくと、売上高40億円ほどの製粉会社が年間保険料2億円超に上る、膨大な数の保険に加入していることが続々と判明。そこには、今、国税庁が目の敵にしている名義変更プランをはじめとした節税保険や節税手法を駆使しての、資産移転や租税回避とみられる行為が明らかとなった。

 この背後には、節税保険の“指南役”といえる大手保険代理店、E保険プランニングの存在に加え、実は保険会社の営業職員だったという経営コンサルタントの暗躍ぶりも浮き彫りとなった。以下、その中身を見ていこう。