「ひどすぎます!」「改善が必須です!」などと責めれば相手の反省を強要するニュアンスになり、相手の心のどこかにこちらと事を構えんとするような、防護壁じみたものもできてしまう。しかし「悲しい」という客側の事実で締めくくられた場合、むしろ「申し訳なかった」と反省する気持ちになるということがある。クレームメールはぜひ難詰一辺倒でなく、このように心引くフレーズを入れて緩急を際立たせるのがよいだろう。

 筆者の直近の経験では、某ハンバーガーチェーンの駐車場誘導係を務めていた人が、マスクをせず不機嫌そうにがなり立てていたので、「お兄さんマスクしてないですけど大丈夫ですか?」と注意含みに尋ねると「大丈夫ですよ!」とキレ気味の返答があったので、帰宅後順当にクレームメールを送信した。

 なおクレーム対応がひどいことで有名な企業であり、メール送信後は「ご意見ありがとうございました」的な一言もなくページが終了したので、「そういう企業だからそういう人材が育つのだな」と妙に得心し、怒りはすっかり治ったのであった。

口コミを活用して社会の利益を
正しい“低評価”の書き方とは

 こんな意見も聞かれた。
 
「店員さんも客を見ていると思うが、客側も店員さんを観察している。手際の悪いスタッフにキレている店主さんを見ながら食事するのは気持ちが萎える。今日機嫌悪いなとか、カウンター内の人間関係は案外、客側に伝わる」(40代男性)
 
 たしかに、たまにそのような光景は見られ、その場に居合わせた客にとっては非常に気分が悪くなる。業務上の注意がバックヤードで発生するのは仕事だから当然のことだが、はた目で胸糞悪い注意の仕方を展開する上司は、こと飲食店においてはいただけない。
 
 その場で「いやいや今日は騒がしいですね」などと苦笑してみるのもいいかもしれないが、そのような苦言が功を奏すかは、店との関係性や客の人柄によるところも大きく、リスクが大きい。失敗すれば、残念な空気の中で残りの時間を過ごすことにもなりかねない。

 となると、店を出てまで不快感が残った場合は、やはり口コミで対応するのが妥当となるのかもしれない。