自分の仕事が好きでたまらない人もいると思います。ただ、心の底から仕事にまったく不満がないと言える人はほとんどいないはずです。

　やりがいがあって面白く、余裕があって楽しめて、友情を育める環境にあり、生産性を維持するためのひとりの時間と仕事を終えられる十分な時間、そしてリフレッシュできる十分な余暇が与えられ、必要とされていると感じるほど十分な貢献ができ、面白おかしい経験もできて、毎月の請求書を払える十分な給与（とさらに少しの余裕）がもらえる。それこそが完璧な仕事です。

　最良の仕事といえども、トレードオフはあります。人生の中盤に差しかかると、親に言われた通りの人生を歩んでいたことに気づきます。17歳の自分（本当に自分だったの？）が歯科医になることがあらゆる可能性の中で最良の人生だと決めつけたがために、20年間、歯に詰め物をしている人だっています。

　私たちは「現実社会」、妥協の社会に足を踏み入れました。ちまたでは「成功のために全力を尽くすべきだ」と喧伝されているにもかかわらず、1日が終わるころには疲れ果ててしまい、ソファに行くのがやっとです。

　もっと納得できる生き方、もっと充足感や意義を感じさせてくれる生き方があるはずだ。私たちの多くはそう信じて生きています。ところが年月がたつにつれて、仕事で生活は単調になり、毎日やるべきことが山積していく中で、そうした思いは徐々に色あせていきます。

　これからあなたが目にする人々は、人生にもう1つの生き方があることを見つけました。真正で、生産的で、意味のある生き方です。物質的な豊かさも犠牲にはしません。内面的な生活と外面的な生活のバランスをとりながら、職業人としての自分が、家族における自分、より本質的な部分での自分とうまく折り合える生き方です。

　もっと生を感じながら、生計を立てる方法があります。「金と命、どっちが大事だ」と聞かれたときに、「両方大事です」と言えるような、人生へのアプローチがあるのです。