コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
 ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
 発売1ヶ月で10万部を突破した、樺沢紫苑氏による最新作ストレスフリー超大全』では、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫る――。

病気になったら元も子もない!

国連発表による「世界幸福度ランキング」(2019年)によると、日本は対象156ヶ国中58位。先進主要8ヶ国の中では、ロシアに次ぐワースト2位。日本の名目GDP(国内総生産)は世界第3位で経済的には豊かなはずですが、日本人の幸福度は非常に低いのです。

たとえば、「仕事を頑張る」ということは、「幸せになる方法」だと思っている人は多いでしょう。しかし、仕事を頑張りすぎて体を壊したり、メンタル疾患になる人もいれば、過労死で亡くなる人もいます。仕事人間で家族とのコミュニケーションを怠ったために離婚したり家庭崩壊を招く人もいます。

幸せになる方法を正しく実行しないと、皮肉にも不幸な道へと進んでしまうのです。

幸せの種類は「3つ」ある!

「幸福」とは何でしょうか。どうすれば幸福になれるのでしょうか。はるか昔から、哲学者、思想家、宗教家、政治家、社会学者、心理学者など、さまざまな分野の賢人たちが、「幸福論」を語り、「幸せになれる方法」を研究しています。しかし、1つの結論は出ていないというのが、正しいでしょう。

ここでは、私なりに、精神科医として、また、脳科学の見地も参考にしながら「科学的に幸せになれる方法」を語ってみましょう。

人が幸福感を感じるとき、「脳内」で何が起こっているかを考えましょう。

脳内では、幸福感を引き起こす「脳内物質」が出ています。その「幸福物質」が増えれば、幸福になれると言えます。逆に、「幸福物質」が少ないと、「苦しい」「つらい」「死にたい」といった気持ちになります。

幸福感を引き起こす脳内物質、つまり「幸福物質」は、主に3つあります。「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」です(他にも「エンドルフィン」という物質もありますが、今回は除外しています)。

これらの物質が分泌されると、「幸せ」な気分になれるのですが、それぞれの幸せの「質」がまったく異なります。順番に説明しましょう。

1 「セロトニン」的幸福

「やすらぎ」「癒やし」「気分」の幸福感です。朝、「今日は天気がよくて清々しいな。今日も1日頑張ろう」とポジティブで前向きな気分に包まれるのなら、セロトニンが分泌されています。
それと逆に、「不安」「心配」「イライラ」「落ち着かない」「嫌なことばかり思い出す」という状態なら、セトロニンが著しく低下してネガティブな気分に支配されています。

2 「オキシトシン」的幸福

「つながり」の幸福感です。夫婦や恋人など、パートナーと一緒にいたり、子どもや友人と遊んでいて楽しいときに分泌される物質です。スキンシップ、コミュニケーション、人とのつながり、愛情、交流などに関連しています。
人に親切をしたり、親切にされたときにも分泌されるので、ボランティアや社会貢献での「感謝」「ありがとう」といった感情にも関連しています。

3 「ドーパミン」的幸福

「やる気」による幸福感です。ドーパミンは、「幸福物質」としてよく紹介されています。目標を達成したときに分泌される「成功」の物質です。
プロジェクトに成功したり、スポーツで優勝したり、大金を手に入れたり、昇進、昇給したり、「やった! 最高だ!」という、達成感や高揚感に関連しています。

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「ドーパミン」的幸福にとらわれるな

多くの人は、「幸福」を考えた場合、ドーパミン的幸福しか考えません。

「出世したい」「お金持ちになりたい」「成功したい」「豪邸に住みたい」などの欲望は、すべてドーパミン的幸福です。

もちろん、ドーパミンは原動力になるのですが、これだけでは幸福にはなれないのです。

年収が1000万円を超えたものの、働きすぎて「うつ病」になってしまったり、家庭崩壊を招いてしまう人の話は、誰もが聞いたことがあるでしょう。

人間が生きていく上で、私が一番重要だと考えるのは、セロトニン的幸福です。セロトニン的幸福は、言い換えると「健康」を実感する幸福です。心や体の病気になると、セロトニンは低下します。

「セロトニン→オキシトシン→ドーパミン」という順番で実現させていくのが大事です。それを踏まえた上で、どうすればそれぞれが得られるのかを考えていきましょう。