鈴木修会長は、「25年から30年が勝負となる。スモールカーの電動化としてはハイブリッド車からPHV(プラグインハイブリッド車)にEV(電気自動車)と全面展開する。特に当面は、PHVの方が小さいクルマの志向に合うのではないか」とスズキの電動化戦略について触れる。

 近年では、約50万円という破格の値段の小型車EVが中国市場を席巻しているが、「それが本物か、まだわからない。もちろん、注視してはいるがそれ以上に良いEVを造っていけばいい」とあくまで歴史ある小型車メーカーとしての自負をのぞかせる。

 ただ、研究開発費などが莫大になる電動車開発は、スズキ一社で太刀打ちできない領域であることも確かだ。トヨタとの提携には、この100年に一度の自動車大変革時代にスズキが生き残るための道しるべの意味がある。「トヨタとの提携成果には期待している。(提携には)ちゃんと“遺言”も込めたよ」と鈴木修会長はにやりと笑う。

業績の回復、後継体制……
カリスマの引き際の決断

「経営第一線から退くことを決めたのは、昨年11月。それまでは2020年が創立100周年という節目になるから(そのタイミングで退任することを)考えてはいたんだが、コロナで20年度業績が赤字転落の危惧にあるなか、辞めるどころではないと。しかし、第2四半期を終えて見通しが好転し、通期で増益が確保できそうになったから、いよいよ退任を決断した」と、引き際を判断した理由を語ってくれた。

 課題であった後継づくりも、着々と体制が整っているようだ。