しかしこの依頼者は全く聞く耳を持たず、「お金を払っているんだ!早く忍び込め!できなければ盗聴しろ!」などとわめき散らしてきたので、冷静になってから話しましょうと伝えて、強引に電話を切りました。

 多大な違和感を覚えたため、依頼者自体の調査を始めたところ、実は対象者とは以前に付き合っていたが現在は別れていて、対象者は別の男性と付き合っており、来月には結婚する予定ということが判明したのです。

 身分を偽った依頼者には調査の中断を伝え、実際に稼働した分の調査費用はいただき、残りは返金しました。撮影データや調査報告書などはもちろん渡さずに破棄しました。

 場合によっては、私たちの調査データが犯罪に使われる可能性もあります。依頼者自体の人物にも見極めが必要です。それも探偵としての大切な技術と才能だと思います。

(3)調査中に対象者や依頼者が罪を犯す

 こちらに関しては、次回紹介したいと思います。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため、一部を脚色しています。