仏の顔も三度まで、というのは単なることわざではない。普通は三度目で見放す(人によっては5回くらい我慢してくれるが)。兎にも角にも、いくら注意されてもこうした行動が治らない人は治らないのである。

 当人は、指摘されている内容がそれほど重要ではないと思っていることが多い。むしろ、自分の長所だと思っている場合さえある。協調性なんか気にしているから、先進的なことができないんだ!といった感じで、馬耳東風である。

 こういう場合、上司は相当なストレスを抱えることになる。なぜ部下は分かってくれないのか、自分の指導方法が悪いのか……。そして上司の上司や人事部に相談する。解決策としては、会社に問題児の扱いに長けた「猛獣使い」のような手練れの管理者がいれば、そちらの部署に異動してもらうということがある。

 2. 戦力にならない

 担当している仕事を遂行する上で部下の知識やスキルが足らず、成果も出ない。さらには改善の見込みも低いと判断される場合である。

 このような場合、当初、多くの上司は部下のやる気の問題ではないかと疑う。そこで、最初は「怒り」モードで部下と接する。そのことで覚醒し、成果が出始める部下もいるが、頑張っている(ように見える)にもかかわらず成果が出ないことから、これはやる気の問題ではなく、知識やスキルが足りていないのだと上司は思い知る。

 そこで今度は「教え」モードに転換して、仕事のやり方や知識を伝達しようとする。これで改善する人もいるが、それでも難しいことがある。その仕事に向いていないとか、どうしてもやりたくない仕事がある人がいるのだ。

 そのような場合、上司は「嘆き」モードに変わる。怒っても、教えても、どうしようもないからだ。上司はどうしてよいか分からないし、部下も自信を失い、やる気が減退する一方だ。こうなれば、当人が興味を持ちそうな別の仕事についてもらうしかない。

 ただ、難しいのは、社内で異動させる場合に、当人の業績が劣っており、やる気がないと見なされていた経緯があると、受け入れ先が見つけにくいことだ。上司は部下の経歴などから魅力になり得る部分を見つけたり、評価に色付けをしたりして、受け入れ先候補の部署になんとかねじ込もうとする。