見放されることを
過剰に恐れることはない

「他にもっと良い人がいる」ケースは、部下としても結構がっくりする。上手に言い訳を作ってくれたとしても、自分がそこまで高く評価されていなかったということくらいは分かる。プライドが傷つく。悲しい。

 しかし、仕方がない。自分の将来期待値が、上司から見て他者に劣ったということなのだから。これは新しい職場で見返すしかない。長い人生このくらいのことは1度や2度や3度はある。捨てる神あれば拾う神ありという格言を信じてみよう。

「戦術に合わない」場合も割り切るしかない。戦術に合わせて自分のやり方を変えるか、上司に戦術を変えさせるか、他の部署に変わるかという3択しかないのだ。

 上司に戦術を変えさせる、というのはおよそ現実的ではない。不承不承、中途半端に仕事をしていても幸せにはなれない。互いに反発しあって不毛な時間とエネルギーを費やすなど愚の骨頂である。

 上司の戦術に合わせると決めたら、徹底的に自分のアプローチのモデルチェンジをしてみよう。もし合わせないと決めたのなら、異動先を自分で探してさっさと異動願いを出すか、転職を考えるのがよいだろう。

 上司が「見放す」のは、上司の戦術や立場、能力、包容力などから見て、その部下(あなた)を置いておくことが今は適当でないということにすぎない。今は幸い、一度ついた上司に一生付き従い、生涯頭が上がらないという時代ではない。見放されることを過剰に恐れる必要など全くないのだ。

 もしそういう状況になれば、さっさと今の場所を離れて、より充実した仕事ができる場所を探すべきだろう。自分がよりよく能力を発揮できる場所で働くほうが、もとの上司にとっても、会社にとっても、もちろんあなたにとってもいいに違いない。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)