このクルマ、実はクールかもしれない!?

 そうは言ってもスポーツカーですから、トヨタ「4RUNNER」(日本名は「ハイラックスサーフ」)やジープ「ラングラー」といった専門的なクルマのように、どこまでも遠出できるわけではありません。実際、大自然に囲まれた曲がりくねったワイルドな道を苦労して進んだ経験のある方は、一体どれほどいるのでしょうか?

「トラックやSUVなどの大型車のルーフトップにテントを乗せて出かけるのは、格別の楽しみがあります。ですが、そこまで大型ではないクルマでそれをやってみると、これもまた思いのほか楽しいということを発見したのです」とキーン氏は話します。

 アメリカ国内において、絶景を楽しめる道の多くが州立公園や国立公園の中にあることを考えれば、キーン氏の取り組みは理にかなった話かもしれません。おまけに、「911 カレラ4S」は車高が低いことでテントへの出入りも簡単となり、テントの設営もよりシンプルで済むというメリットもありました。

本気?ポルシェをキャンピングカー仕様にしたら、超クールな旅ができたGRANT HINDSLEY

とはいえ…問題が
ないわけでもありません

 当然のことながら、キーン氏のポルシェのようなパフォーマンスカーでキャンプに出かけようとすれば、それ相応の課題も生じます。走行時やキャンプ中、クルマの屋根はどれだけの重さに耐えられるのか、その積載重量の限界を知っておく必要があります。

 キーン氏の所有する「911 カレラ4S」の場合(そして、他の新型ポルシェの場合も同じく)、走行時の最大積載重量は約75kg、停車時で約272kgとなっています。

 さらに「911」(以降は「911」で略称)のようなスポーツカーには、懸念事項は他にもあります。

 まずは、収納力の低さという問題です。これに対してキーン氏は、「私たちの場合、バックパックに荷物を多く詰めることもあり、収納力の低さはそこまで大きな問題にはなりませんでした」と語っています。

「それにポルシェでキャンプに出るからと言って、グランピングで満足するつもりは毛頭ありませんでした。あくまでも、ミニマリストの姿勢でキャンプに出てみようというのがそもそもの出発点でした。つまり、必要な荷物はしっかりと積むのが自分の流儀です」と、キーン氏は語っています。