宮路:GISとは「ジオグラフィック・インフォメーション・システム」の略です。地理情報システムを使ってさまざまな地図を作ったりして、防災に役立てようというものです。

 この考え方が本格化したのは阪神淡路大震災の頃と言われています。

 あれは平成7年(1995年)の出来事です。私が大学に入った時、最初は「GISって、それほど大事なのかな?」と半信半疑だったところもありました。

 でも時を経て、さまざま災害を経験していくなかで、GISが本当に大事なんだということに気づきました。そして、これからはますます大事になっていくでしょうね。

 日本は地震が多い国です。そして台風や大雨など大きな災害が全国的にすごく増えています。

 そういうことを踏まえれば「防災教育としての地理」がとても大事なんだということは強く訴えていかなければいけないですよね。最近では、それは私のライフワークのようになってきています。

 近年は、私の授業を受けた生徒が地理に興味を持つようになってくれたり、大学で地理学を収めた人がGISの会社で働くなどの動き出てきて、それはすごく嬉しいことです。

 産業という意味でも、これからもっともっと必要とされる分野なので、花形産業になっていくと思いますし、地理学そのものが人気の進学先になっていくと私は思っています。

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阪神・淡路大震災の教訓「防災教育としての地理」とは?宮路秀作(みやじ・しゅうさく)
代々木ゼミナール地理講師、日本地理学会企画専門委員会委員
鹿児島市出身。「共通テスト地理」から「東大地理」まで、代々木ゼミナールのすべての地理講座を担当する実力派。
地理を通して、現代世界の「なぜ?」「どうして?」を解き明かす講義は、9割以上の生徒から「地理を学んでよかった!」と大好評。講義の指針は、「地理とは、地球上の理(ことわり)である」。
生徒アンケートは、代ゼミ講師1年目の2008年度から全国1位を獲得し続けており、また高校教員向け講座「教員研修セミナー」の講師や模試作成を担当するなど、いまや「代ゼミの地理の顔」。2017年に刊行した『経済は地理から学べ! 』はベストセラーとなり、これが「地理学の啓発・普及に貢献した」と評価され、2017年度の日本地理学会賞(社会貢献部門)を受賞。大学教員を中心に創設された「地理学のアウトリーチ研究グループ」にも加わり、2021年より日本地理学会企画専門委員会委員となる。
またコラムニストとして、「Yahoo! ニュース」での連載やラジオ出演、トークイベントの開催、YouTubeチャンネルの運営、メルマガの発行など幅広く活動している。著書に『経済は地理から学べ! 』(ダイヤモンド社)、『目からウロコのなるほど地理講義(系統地理編)・(地誌編)』(学研プラス)などがある。
阪神・淡路大震災の教訓「防災教育としての地理」とは?