横浜市長選挙出馬の噂の真相とは!?

 一部の報道でもあった通り、私は現在、地元横浜市の市長選挙に巻き込まれています。ブロンコスの代表を離れるのはもともと決めていたことですが、同時にさいたまスポーツコミッションの会長も退任します。横浜市長選のゴタゴタに巻き込まれた以上、埼玉県やさいたま市の関係者に迷惑をかけたくないという意味で、一切の役職を離れることにしました。

 さて、その横浜市長選についてですが、現在、私の出馬についてさまざまな憶測が飛び交っています。私の周囲の方々にもご迷惑をおかけしている状況ですので、ここで明らかにできることの全てをお話ししたいと思います。

 2021年の1月20日のことです。私に立憲民主党から声がかかりました。今年で任期が満了となる林文子市長と自民党の統括下にある横浜市政に代わるために、横浜市長に立候補してくれないかという要請です。それから何度か、党のトップクラスの方々もわざわざ訪ねて来てくれました。横浜市長。生まれ育った私の地元のトップです。全権を握る立場であれば、立て直す自信はあります。しかし、いろいろとお話を聞かせていただいたのですが、どうやらそうでもなさそうなのです。要は昔ながらの出馬要請でした。

「カジノ反対なら全面的に応援と支援をする」「党を挙げて協力する。選挙資金も数千万円単位で用意するので推薦させてほしい」などなど、権威が欲しい人や、お金や利権に目がない人ならすぐにうなずくような口説き文句かもしれません。しかし、その背景には、立憲民主党が私の背後から横浜市をコントロールしたい、秋まで続く自民党との国政での戦いに横浜市長選を利用したいという意図が透けて見えます。

 私は、横浜市長とは、常に横浜の文脈で物事を考え推し進める立場だと思っています。

 しかし、立憲民主党からの要請は政党の文脈に乗ることでした。そうした役割は願い下げです。なんて時代錯誤なのだろうか、私にはそうとしか感じられませんでした。私に対する横浜市民の認知度は低いかもしれませんが、ベイスターズの認知度はとてつもなく高いです。それを持ち出して、最大政党の自民党と組めば、ほぼ間違いなく市長になれるでしょう。逆に「カジノは日本では賛成だが、横浜では白紙」というおかしな論を掲げ、新たに出馬を表明した小此木八郎さんを否定する立場なら、立憲民主党と組んでも、当選できるかもしれません。横浜の市民はもう過去の「白紙論法」や東京五輪の「なし崩しごまかし論法」には辟易しているわけですから。しかし、担がれて市長になったとして、いったい何ができるのでしょうか。

 これまで、この連載でも何度もお話ししてきましたが、私の能力は全権を任せられてこそ発揮されるものです。選挙資金をもらって、しがらみにまみれて、背後からとやかく言われて、忖度しながら発言し、行動するタイプではありません。民意を無視して、嘘をついたり、ごまかしたり、なし崩しに何かを進めるといったことはもってのほかです。少なくとも、立憲民主党が期待する市長にはとてもなれないと思いました。

 そもそも市長とは、市民の意思や自分の中から湧き出た目的を実現したいからその役割を担うのであって、「市長になることそのものが目的」の人では務まりません。またそのような選挙は完全に時代遅れでしょう。票を集められるプロフィールを武器に、政党の推薦を受けて政党から言われるがままに当選したとしても、手のひらを返すようなことを強要されるに違いありません。それが市民にとって良いことになるとは思えませんし、市民の心を動かすようなことはひとつもありません。私が立憲民主党の要請を断った最大の理由は、「もう、こんな古い選挙はやめましょう」ということなのです。

 最終的に、立憲民主党は私を諦めて、横浜市立大学の山中竹春氏に狙いを定めたようです。山中氏は、今の社会での最も大きな問題である「コロナ対策」については、知識もアイデアもお持ちだということは間違いないでしょう。しかし、今回の横浜市長選にとって重要なことは、「コロナ対策をどうするか」ではなく、「コロナ後の街づくりや産業構造の立て直しをどのようなビジョンで進めるか」ということです。もちろん、カジノを誘致すべきか否かも市民の大きな関心事です。しかしそれも、コロナ後の横浜市をどのような都市にするのかというビジョンがあってのことです。

 選挙で市民に投げかける「問い」が全く的外れであることが、候補者の選定に表れています。産業であれ街づくりであれ、経営に携わったことのない山中氏にそれができるのか、全くの未知数です。山中氏が悪いと言いたいのではなく、立憲民主党の市民の思いを捉えるセンスのなさに、この政党からの要請に応えることはできなかったと、あらためて思っているところです。

 自民党も同じかもしれませんが、少なくとも民意を無視して単にカジノを政治の道具として使っている政党からは出馬したいと思いません。このような選挙のやり方についてはまったく納得できませんし、考えるならば自分でどうするべきかを考えます。

 これが横浜市長選への私の関わりの全てであり、思いの全てです。