Photo:Shutterstock

環境の変化に柔軟に対応することは、時代や業界を問わず、ビジネスには確実に求められることである。スポーツ界は古い体質がはびこっており、一度決めたルールや伝統的な慣習が、時代にそぐわなくても残り続けるケースが少なくない。さいたまブロンコスの代表である池田純氏が、バスケットボール界も固定観念にしばられており、それがプロスポーツビジネスとしての成長を阻む要因となりかねないと警鐘を鳴らす。

寝耳に水……暗中模索で立ち上げたユースチーム

 Bリーグが15歳以下のユースチームを2021年4月までにつくる義務をB1、B2の全クラブと、B2の準加盟クラブに課したのは19年のことです。B2の準加盟クラブであるさいたまブロンコスもこれに従い、ユースチームを持たなければなりません。私がそのことを知ったのは、ブロンコスの経営権を取得してしばらくたってからのことでした。

 ブロンコスの旧経営陣はまったくその準備をしておらず、急きょ、2020年の終わりから準備を始めて、説明会やトライアウトを実施し、どうにかこの4月に間に合うようにU15チームを立ち上げました。正直、コロナ禍で参加希望者を集めるトライアウトや説明会を実施することすら非常に難しく、暗中模索しながらの発足でした。

 Jリーグのクラブ経営にも多数関わってきたため、プロのクラブチームがユースチームを運営する意味はよく分かります。地域の子どもたちにとって憧れであり、目標でもあるクラブチームとして、学校の部活動や地域のアマチュアチームでは得られない高いレベルのプレーを経験してもらい、バスケットボールの裾野を広げるとともに、将来の有望な選手を育成する。それらを含めた多面的な意義がユースチームにはあります。

 そのこと自体に合理性はあると思いますが、「順序」が必要であるとかねてより私は考えてきました。

 最初のステップとしては、地域にプロとしてのトップチームがそれなりに根付き、一定以上の認知と人気と強さを得ていなければなりません。地元の人たちがそのチームの看板選手たちの名前と顔くらいは知っているくらいのレベルが最低限必要です。

 その次のステップが、バスケスクールやアカデミーの立ち上げです。プロのクラブチームやプロ選手に憧れる子どもたちが、そこに集まってきて、人数が増え、コーチもスクールの数も増える。その中でプロの技術の片りんが学べ、地域の子どもたちのバスケットボールのレベルが上がり、同時にプロ選手や元プロ選手と子どもたちとの交流が生まれ、地域のバスケ熱が高まっていく。そんな段階です。

 その2つのステップを経てようやく、スクールやアカデミーからの選抜選手も含めて、ユースチームを結成することができるというのが、私が必要と考える順序でありセオリーです。しかし、ブロンコスはクラブチーム自体がどうにか再生のスタート地点に立ったばかりで、地域との関係性を育むステップにあります。そのステップをクリアすることなく、いきなりU15チームというレベルで子どもたちの育成に取り組んでしまうというのは、セオリーを無視した困難なタスクです。

 どうにかして、ユースチームを立ち上げるに足るレベル選考を経た人数が集まりましたが、今季まだ3勝しかしていない弱小チームのユースですから、子どもたちに対して心の奥底には本当に申し訳ないと思う気持ちが拭い切れません。