スポーツやエンターテインメントは地域活性化に大きな役割を果たす――。野球やバスケットボールのプロチーム運営を通して、このことを実証し続けている池田純氏が、このたび、自身が横浜DeNAベイスターズの再生を果たした地で、都市経営のあり方について考える組織を立ち上げた。その設立の背景にある問題意識や目指すべきことを語る。
ブロンコス再生の次に取り組むべきこと
去る5月10日、Twitterに「横浜未来都市経営研究所を設立します」と投稿しました。それほど大きな話題になるとは思っていなかったのですが、「さいたまに飽きちゃったの?」といった趣旨のコメントも頂いているので、その意図について少し説明したいと思います。
さいたまブロンコスのオーナー兼取締役となってほぼ1年。その間、私はチームの再生にまい進してきました。組織を立て直し、数億円に上った債務は解消し、無観客試合が続いてもスポンサーからの資金でチームを運営できるような状態まで持ってくることができました。今期はすでに黒字化の見込みが立っています。後は、チームの力を強化していくだけです。
しかし、単にチームが強くなればいいということではありません。ブロンコスは、地域に密着し、スポーツの力によって都市経営に寄与し、街を活性化させることを大きな目標にしているチームです。それを実現するには、さいたま市の清水勇人市長が公約として掲げてきた次世代型スポーツアリーナの建設が必須の条件となります。アリーナができるかどうかは、全て行政のリーダーシップと意思決定に懸かっています。チームを再生させることまでは私の役割でしたが、次のステップに向けての大きな鍵であるアリーナ建設は、私がリーダーとなってコントロールできることではありません。行政に次の展開を委ねるしかないのです。