就活本に初めて「自己分析」の考えを取り入れた本として
13年連続大学生協第1位のベストセラーを誇る『絶対内定』シリーズ。
ただ内定をとるためだけではなく、「心から納得のいく進路が見つかる」「本当にやりたい仕事がわかる(やりたいことに気づける)」「自分らしく働ける会社と出合える」「入社してから『こんなはずじゃなかった』と後悔しない」ための1冊であることが大きな特徴だ。
これまで9800人以上に就職・転職指導をし、その第一志望内定率が93%というキャリアデザインスクール「我究館」がもつノウハウがこのシリーズには詰まっている。
コロナ禍で価値観が大きく変わるなか、会社選びも大きく変わってきている。
自分らしい働き方とは、生き方とは…、
今、じっくり自分と向き合う時間を『絶対内定』と過ごす就活生が増えている。
「そもそも、働きたくない」と思いながらなんとなく就活をはじめ、悩む学生は多いという。今回はそういった学生がまず考えるべきことについて我究館館長の藤本健司氏に聞いた。
(構成/藤本健司、ダイヤモンド社・朝倉陸矢)

「そもそも、働きたくない」と思いながら就活している人が考えるべきことPhoto: Adobe Stock

就職は「ハッピーな人生」の選択肢の一つにすぎない

「大学を卒業するから就職する」
「ほかにすることがないから就職する」
「自分で稼がなければいけないから仕方なく就職する」

そういう考え方に僕は大いに疑問がある。また、

「ずっとその会社にいるわけでもないだろうから、とりあえずどこかに就職する」
「自分が本当にどうしたいかは、入社してからじっくり考えればいい」

そういう考え方もあるだろう。

理論的にも、心情的にも理解できるが、僕は本当におすすめできない。現実的には、いったん入社すると、自分の人生についてじっくり考える余裕やパワーを持てなくなるほど目まぐるしい日常を送ることになる人が大半である。目まぐるしい日常の中で、気がついたら流されてしまう人が本当に多いのだ。

だからこそ、これからの人生における人生観や仕事観など、様々な価値観の基礎の構築は、会社に属していないニュートラルな状態である学生の今が、本当にベストなタイミングだと僕は思っている。

今のうちに一定レベルで、自分の夢や価値観を持っておかないと、最初の会社の価値観に染まってしまうだろう。いわゆるサラリーマン的価値観が染みついていくだろう。気がついたら、

「しまった! こんなはずじゃなかった!」

ということになってしまうだろう。

だからこそ、最初にどういう組織に入るか、そしてそれ以上に自分が自分の夢と信念を持つこと、自分で自分の価値観をいつでも再構築できるようにすることが、本当に重要なのだ。

就活すると決める「前に」我究(自己分析)するのが重要

就職するにせよしないにせよ、就職するならなおのこと、しっかり我究(自己分析)しておくべきだと声を大にして僕は言いたい。

「自分の夢の実現のために、ハッピーな人生の実現のために、今、この会社に就職することがベストだ」

そう思った人が、ベストだと思う会社に就職する。あくまでも、そうあるべきであると僕は考えている。それを前提として、就職活動は自分の甘さを認識するだけでなく、自分を高めることができる経験でもある。自分の価値観を自問自答できる絶好のチャンスでもある。

周囲にとらわれず、卒業後の進路を決定しよう

夢がいかなるものかは別として、夢を実現させるまでの過程を考えておこう。自分の夢が描けていない人も少なくないだろうから、一般論として考えてもいい。

夢によっては、そのまま卒業して社会に出ることがベストとは限らない。また、自分の未来を考えた上で、そもそもまだ働きたいという気持ちが強くないなら、無理して今すぐ働かなくてもいいと思う。

卒業後、学生を続けたっていい。海外をあてもなく彷徨ったっていい。事情が許すなら、1年休学手続きをとって留学したっていい。すぐに行ける情勢でなければ、その準備を進めるのもいいだろう。もちろん気分だけでなく、冷静に未来を見据えていかないと、もしあとで就職しようと思っても、年齢制限や既卒者は不可などの条件で希望のところに行けなくなることもあることは言うまでもない。また、将来の起業に向けて、とりあえず就職するという考え方もいいだろう。

いずれにせよ、周りがどうするか、他人がどう思うかということをできるだけ気にせずに、勇気を持って自分本位に進路を決定していくべきだ

(本稿は、『絶対内定2023 自己分析とキャリアデザインの描き方』を抜粋、再構成したものです)

藤本健司(ふじもと・けんじ)
我究館館長
千葉大学教育学部卒業後、(株)毎日コムネット入社。営業に配属され、2年目に優秀社員賞、3年目に社長賞を受賞。2012年「世界の教育問題に対峙したい」との思いから、青年海外協力隊としてケニア共和国で活動。3年間、JICAや現地の省庁と連携し、児童福祉施設における情操教育やカウンセリングに携わり、「人は志や気づきによって大きな成長を遂げられる」ことを実感する。2016年より(株)ジャパンビジネスラボに参画。我究館学生校の主担当コーチとして大学生をサポート。外資系投資銀行、コンサルティングファーム、総合商社、広告代理店など、難関企業に多数の内定実績がある。