イノベーションと起業家精神を象徴するガレージ。HPEの前身である、Hewlett-Packard Companyを創設したビル・ヒューレットとデイブ・パッカードが1938年に製品の開発を始めた拠点であるガレージは、シリコンバレー生誕の地として1989年にカリフォルニア州に献呈され、2005年に修復された。 Photo: Hewlett-Packard Company Archivesイノベーションと起業家精神を象徴するガレージ。HPEの前身である、Hewlett-Packard Companyを創設したビル・ヒューレットとデイブ・パッカードが1938年に製品の開発を始めた拠点であるガレージは、シリコンバレー生誕の地として1989年にカリフォルニア州に献呈され、2005年に修復された Photo:Hewlett-Packard Company Archives
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 ヒューレット・パッカードを変革するためにeBayからやってきたメグ・ホイットマン氏は、2014年に大きな決断を下す。それは、PCとプリンターなどコンシューマー向け事業のHP、サーバーなどのシステムを扱う法人向け事業のHPE、と2社に分社することだ。当時ホイットマン氏は、「アジャイルに、ニンブルになる(ともに、「素早く」「敏捷=びんしょう」などの意味)」と分社化による狙いを説明していた。

 こうして2015年の秋、HPEは誕生した。再建の道筋を作ったことからホイットマン氏は2018年1月に退任、ホイットマン氏の下で実質の戦略立案を行ってきたネリ氏がCEOとなった。

 54歳のネリ氏は、1995年にHP(当時)に入社、キャリアのほとんどをHP(E)で築いたという、米国IT企業のトップには珍しい生え抜きのプロパーCEOである。「HPの最初の顧客はウォルト・ディズニー。音響システムやオーディオ発振器を開発し、アニメーションを変えた。以来、ITは進化し、さまざまな業界を変えてきた。我々がやってきたことは、人々の生活や仕事を進化させること。これは、現在でもHPEのパーパス(目的)だ」とネリ氏。ここ数年は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」で、ITの活用とデジタル化はどの企業にとっても不可避となった。「ITは全ての企業を変えている。デジタル経済を加速するエンジンになっている」とネリ氏は見る。