コロナ禍で市場環境が激変した13業界について、それぞれ倒産危険度ランキングを作成した。特集『廃業急増!倒産危険度ランキング2021』(全23回)の#12では、苦境にあえぐホテル・旅行業界を取り上げる。13社が危険水域と判定され、名門ホテルも2位にランクインした。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
HISは本社ビルを売却
コロナ苦境が続くホテル・旅行業界
「旅行業界への就職は、『考え直した方がよい』と言われ迷いました。でも、行きたかったので覚悟を決めました」
この春、新社会人となったある男性は2020年5月ごろ、内定をもらっていた大手旅行代理店への就職を考え直すよう大学のゼミの指導教官に説得された。結局その男性はそのまま旅行代理店に就職したものの、教授の“勘”は当たっていたのかもしれない。
新型コロナウイルスの感染拡大は長期化し、変異株の流行などで終息する気配がない。コロナ前、華やかなイメージから就職人気ランキングで上位に名を連ねた旅行業界も、コロナ禍では不振にあえぎ、財務状態は傷んでいる。
旅行業界大手のエイチ・アイ・エス(HIS)も例外ではなく、ホテル・旅行業界の倒産危険度ランキングでは11位にランクインした。HISの21年10月期中間決算は、売上高が前年同期比80.4%減の677億円、最終赤字232億円に沈んだ。自己資本比率が15.1%まで落ち込んだことを受け、20年3月に竣工したばかりの東京・虎ノ門のオフィスビル「神谷町トラストタワー」の本社フロアを325億円で売却するなど、財務基盤の安定に奔走する。
旅行業界と“運命共同体”のホテル業界も厳しい。「ワシントンホテルプラザ」「R&Bホテル」などのブランドを全国に展開するワシントンホテルが2位にランクインしている。
ダイヤモンド編集部が作成したホテル・旅行業界の倒産危険度ランキングで、“危険水域”に入った会社は13社。HISやワシントンホテル以外にも、著名な企業が多く名を連ねる
1位になったのはどこなのか。ランクインした企業の顔触れを見ていこう。