コロナ禍で市場環境が激変した13業界について、それぞれ倒産危険度ランキングを作成した。特集『廃業急増!倒産危険度ランキング2021』(全23回)の最終回では、電力・ガス業界を取り上げる。14社が危険水域に入った。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
「元の生活には戻らない」と振り返る福島県民
東電自身、「福島事業」の費用負担に苦しむ
「東日本大震災の発生時は中学3年生。高校生活の3年間は、定期的に甲状腺検査を受けていました。私は大丈夫でしたが、家族が再検査の対象になり、不安になったことを覚えています。今はそうしたことはなくなりましたね。でも近所には、原発事故で避難してきた人々がいまだに住んでいます。全ての人々の生活は元には戻らないんだなって……」
福島県在住のある女性は、“あの日”から10年をこう振り返る。
新型コロナウイルス感染拡大のニュースに追われる日々だが、今年は東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所の事故から10年の節目であることを忘れてはならない。
仮設住宅での暮らしを余儀なくされる人、県外に生活基盤を移さざるを得なかった人など、避難した福島の人々の生活はさまざまだ。
こうした人々にとって、10年の時が経過した今でも、「東京電力によって生活が壊された」との思いは変わらないだろう。そして、東京電力ホールディングス(HD)自身も原発事故の代償からは逃れられない。
福島第一原発の廃炉や被災者への賠償など、いわゆる「福島事業」の費用総額は21.5兆円。この金額は廃炉作業の長期化などで、さらに膨れ上がると見られる。
東京電力HDは福島事業の費用を捻出すべく、脱炭素で注目を浴びている再生可能エネルギー事業を売却するという話さえ社内では持ち上がっている。(参考:『東京電力が虎の子「再エネ事業」を一部売却へ、仰天構想が判明【スクープ完全版】』)
加えて、2016年の電力小売り全面自由化により、東京ガスをはじめとしたライバル企業に顧客が流出し、東京電力エナジーパートナーの販売電力量は落ち込んでいる。
東京電力HDの22年3月期第1四半期決算は、純損益が30億円の赤字。第一四半期の最終赤字は実に7年ぶりのことだ。
ダイヤモンド編集部が作成した電力・ガス業界の倒産危険度ランキングで、“危険水域”に入った会社は14社。東京電力HDは4位にランクインした。
あなたの住む町の電力・ガス会社は何位だろうか。そして、1位となった企業はどこだったのか。ランクインした企業の顔触れを見ていこう。