債務不履行のリスクを織り込む格好で、ユニゾホールディングスの社債価格がマーケットで暴落している。実は、社債価格が落ちている企業は他にもある。いずれもコロナ禍で業況が悪化した企業であり、特集『地銀転落 メガ銀終焉 銀行複合危機』(全10回)の#4では、大口融資で支えるメガバンクへの影響を探った。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
株価高騰時もユニゾ社債は3割超下落!
債券市場が経営不安を見抜いた企業とは?
2020年6月17日。この日が、不動産会社ユニゾホールディングス(HD)の株式の最終売買日となった。上場廃止の道を自ら選んだ同社株の終値は5990円だった。従業員による買収(EBO)の買い付け価格6000円とほぼ同じである。
19年7月に旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が敵対的な株式公開買い付け(TOB)を仕掛ける前の株価は、2000円前後で推移していた。その約3倍となる水準でユニゾHDは株式市場から去った。
その後、同社の経営は混迷を極めることになった(詳細は本特集#2『ユニゾ非上場化後の惨状、経理部長辞任の裏に「銀行の論理」との暗闘【独自】』)。実は、社債市場はこの時期にユニゾHDの経営不安を見抜いていた。同社は複数の社債を発行しているが、例えば27年5月に償還日を迎える「ユニゾHD第9回無担保社債」の20年6月17日の価格は66.77円。
東京証券取引所を上場廃止になり、高値の株価で取引を終えたその日、既に社債価格は発行時(100円)よりも3割以上低い水準まで売り込まれていたのだ。
なお、10銘柄を超すユニゾHDの社債は現在も市場で売買されている。価格は経営危機を織り込む格好で暴落状態に陥っている。
そこでダイヤモンド編集部は、社債価格の下落率ランキングを作成した。ユニゾHD以外にも信用リスクが高まっている企業は複数あるはずだ。それを社債市場にあぶり出してもらい、大口融資をしているメガバンクを特定するのが狙いである。
新型コロナウイルスの感染拡大前と価格比較できる普通社債は、2945銘柄あった(同一企業の社債でも発行日等によって銘柄としては別物として扱っている)。このうち5%以上、下落した社債は62銘柄で企業数はユニゾHDを含めて15社に上った。
その上位には、ユニゾHD凋落のきっかけをつくったHISも入っている。これは皮肉というほかない。それでは下落率ランキングを見ていこう。