中米エルサルバドルはあと2週間足らずで、暗号資産(仮想通貨)ビットコインを法定通貨に採用する初の国となる。次に何が起こるかは、誰にも分からない。貧困国であるエルサルバドルの政府は、電子ウォレット「Chivo」に登録した人に30ドル(約3300円)を配布する計画に伴い、最大7500万ドルの支出を目指す。このソフトウエアベースのシステムにより、推定250万人のエルサルバドル国民は、9月7日時点でエルサルバドルの2つの法定通貨となる米ドルまたはビットコインで、商品の購入やサービスへの支払いができるようになる。ビットコインの採用は、260億ドル規模のエルサルバドル経済が崩壊するリスクをはらむ。ビットコインの価値が暴落し、安全資産とされるドルに消費者が殺到すれば、債務を抱える同国の中央銀行は、ビットコインを買うためにハードカレンシーの準備金を使わざるを得なくなるかもしれない。エルサルバドル政府は20年前、自国通貨コロンを放棄して米ドルに乗り換えたため、国内で紙幣を発行することができない。その上、ドルを稼ぐのに苦労している。