勝負に勝つ五つのキーポイント

 コロナの影響で昨年、選抜甲子園の開催は中止となった。それを聞いたとき、野球部員だけでなく学校全体が落胆した。だが、藤田校長はこう諭し、励ましたという。

「県大会の可能性や交流試合の実施はあるかもしれないので、日々の努力を積み重ねなさい。がんばったら必ず、いいことがある」と。

 応援団とチアリーダーとブラスバンドが織りなす智辯和歌山の野球の応援は独特であり、全国的にも知られている。全校生徒が一つとなり、野球を応援することも、進学に影響しているという。

「勝負に勝つには五つのキーポイントがあります。(1)大きな目的目標を持つ、(2)日々の地道な努力、(3)絶対に最後まであきらめない精神、(4)仲間との団結力、(5)感謝の心。このすべてがそろっているとき、人間はとても強くなれるのです」

 これは野球だけの話ではなく、大学進学も同じだという。目標とする大学を決めたら日々の努力を怠らず、模擬テストが悪くても最後まであきらめない。友達や先生との団結力、そして常に感謝の心を持つ。

 野球部ががんばっているときは、全校生徒は野球部のために応援し、野球部員は全校生徒のために全力を尽くす。それが今の智辯和歌山の勢いにつながっていくのだ。

1日7限の授業を1年間で250日

 授業時間は60分。まず、教科書レベルの基礎・基本を40分学び、残りの20分は発展的思考力を養成する。要は、大学入学共通テスト対策を40分、残りの20分は二次試験の訓練ということだ。

 多い時は1日7限目まであり、これが中学1年から高校3年までの6年間、続けられる。また、1年の授業数は250日を数える。ひと月のうち、第2土曜日だけが休みで、残りの土曜日には授業があり、年末も12月28日ぐらいまで授業が行われる。

 勉強のスピードが速いと言われてはいるが、250日あるのでじっくりと教えることができるという。

 医学部進学に強い高校は、中高一貫の男子校や女子校が多い印象がある。では、共学校の強みは、どこにあるのだろうか。