アフターコロナの医学部・最新序列#10Photo:PIXTA

東大理三(東京大学理科三類)といえば、大学受験の最高峰であり、そこからほとんどの学生が二年次に医学部を選択する。つまり東大理三を経て東大医学部には日本トップの頭脳が集結しているといっても過言ではない。ところが東大医学部は、医師の養成という点では評価が芳しくないのだ。特集『アフターコロナの医学部・最新序列』(全10回)の最終回では、日本トップの東大が医師養成などに弱いその意外な理由に迫る。(教育ジャーナリスト 庄村敦子)

「週刊ダイヤモンド」2020年6月27日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

日本のトップ頭脳が集結する東大は
なぜ医師養成で弱いのか?

東大安田講堂。1969年に起きた安田講堂事件は、前年に医学部の学生が「研修医の待遇改善」などを求めて始まった学生闘争 Photo:PIXTA

「東大理三」は大学入試の最難関だ。念のため説明しておくと、東大の一般入試は学部ごとの募集ではなく、理科、文科共に一類、二類、三類と科類ごとに募集が行われる。2次試験の英数国理の合計点は440点。理一や理二は230点ぐらいで合格できるが、理三は約290点必要。理三の最低合格点が理二の最高合格点を上回った年があるほどの超難関だ。

 理三の定員は100人程度と少ないため、2年生の夏に行われる進学振り分け(進振り)まで理二の学生と同じクラスで学ぶ。理三の学生は理二のクラスメートから尊敬される存在で、一目置かれているというのが一般的な評価だ。

 その理三のほとんどの学生が医学部に進む。そうして出来上がるトップ頭脳集団の東大医学部だが、意外なことに医師国家試験の成績は全国平均ぐらいである。これは一体どうしたことだろうか。