点滴だけで副作用も少ないPSMA治療
余命を半年以上延ばす可能性も

Q:日本未承認のPSMA治療という海外渡航による治療を、西郷輝彦さんのテレビ出演で初めて知りました。難しい治療なのでしょうか。

 治療自体は、点滴だけの至ってシンプルなものです。リクライニングチェアに寝そべりながら、3時間点滴をするだけですので、苦しくもきつくもありません。副作用で危険になった方もおられません。

 PSMA(Prostate Specific Membrane Antigen=前立腺特異的膜抗原)は、前立腺がん細胞の表面の膜に多くあるタンパク質です。腫瘍マーカーのPSAと混同しやすいですが、異なります。がんの悪性度が高かったり進行性に転移したりする場合には、数十~百倍も強く現れるようになります。

 このPSMAに特異的に結合する(注2)分子に、放射性物質を融合して、点滴のルートから静脈注射します。転移をしたとしても、放射性物質がPSMAをサーチし患部を攻撃することができる、前立腺がんに特化した画期的な治療法です。PSMAが強く現れている前立腺がんにしか効果はありません。

 シドニーの指定病院で行っている治療では、到着翌日、PSMAペット検査を行い、PSMA治療に適応するか確認します。適応すれば数日後に病院を再訪し、PSMA治療を受けます。その後、約2日間宿泊ホテルに滞在し、およそ治療3日目には帰国できます。

(注2)特異的に結合する:独特の性質のある物質同士が、特定してつながりあうこと