適性検査を生かすうえで気をつけたいことは?
採用過程のオンライン化によって、適性検査の活用はどう変化していくのでしょうか。
伊達 オンライン化において、適性検査はより重要度が増すと考えられます。先ほどご説明したとおり、オンラインの場合には候補者の性格が特に見極めにくい。そこで、性格を見極めるために適性検査を活用していくことが有効だと考えられるのです。
しかし、実態としては適性検査を分析にまで繋げている企業は必ずしも多くはありません。「この指標が低かったら自社には合わないだろうな」といった感覚で検査を使ってしまっているのです。「なんとなく」で使うのではなく、たとえば、「離職しない人を採る」ことが目的ならば、それに対してどのような性格であれば自社に定着しているのかを分析し、その結果をもとに基準を作って、採用に生かしていくとよいでしょう。
適性検査を生かすうえで、もうひとつ大事な視点があります。それは、企業と候補者とで「攻略し合う敵」のような関係性から脱却することです。適性検査を行ったとしても、対策本に書かれているとおりに答えたり、自宅受検になったことで他の人に受けてもらったりしていては、候補者の性格をきちんと推し量ることができません。
では、どうして受検対策や替え玉受検が行われるのかと言えば、企業は「優秀な候補者を見極めたい」と思い、候補者は「良い企業を選びたい」と考え、攻略し合おうとしているからです。採用の心構えとして最も重要なことは、攻略し合うことではなく、企業が候補者と共通の目標を持つことです。企業側は、「候補者が自分に合った企業を選べること」を目的としましょう。つまり、候補者と合う企業を探すために適性検査を活用する姿勢が重要なのです。