コミュニケーションの継続で学生の考えを上書きする

 学生生活が体育会の活動や研究に追われ、9月から10月になっても、就職先を決めていない学生も多いだろう。春・夏ほどの競争ではないにしても、優秀な学生を複数の企業が奪い合う状況はまだ続いていく。

谷出 これまではメールの連絡にすぐにレスポンスがあったのにそうでなくなった――こうしたときは採用担当者のこまめなフォローが必要です。連絡の頻度を高め、現在の状況をヒアリングして適切なアドバイスをしていくこと。複数の内定を持っている学生は、当然、他の会社の採用担当者からも連絡が来ます。そして、話を聞いたなかでいちばん最後の情報が学生の頭に残りやすいのです。だから、「迷っているなら、□□の観点で会社を選ぶといい。□□はうちの会社だと実現しやすいから、A社よりうちのほうが○○さんに合っているんじゃないかな」というふうに学生の考えを上書きしていき、自分たちが最新のやりとりしている状況をつくることが重要です。学生はいろいろな人に会うので、前回とは180度違う考えを持つようになることもあります。「中小企業がいい」「ベンチャーがいい」と言っていたのに、有名企業のデキる採用担当者に会って、大企業志向になっていくとか…。他社の採用担当者と話をすることが分かったら、「その方とは、いつ話しますか? 終わってから、私とも話ができますか?」と、コミュニケーションを続けていくのが良いでしょう。

 前稿 『さまざまな「内定者フォロー」で、企業の採用担当者が必ず心がけたいこと』 で、谷出さんは、学生に生じる「内定ブルー」に対し、採用担当者は、その学生がどういう社会人になって、どのようなキャリアをつけたいのかを把握し、当人の思い描いている就労観が自社で実現できることをメッセージするべきと説いている。

谷出 内定を出した学生がどんな人生を歩みたいのかを尊重することがいちばん大切でしょう。その歩み方に最も適しているのが自社だと思うなら、他社に採られないように徹底的にフォローしていくべき。自社が他社よりも適してなく、本人から内定辞退の連絡を受けても、その学生を応援し続けることが理想です。「○○社の人事の人はすごく良かった」という好印象を与え、中途採用時の転職希望者として戻ってくることもあり得ます。採れるか採れないかだけの判断で、採れないと知った瞬間に手のひらを返すようなことはやめるべきです。