本書の要点

(1)ロジカルな思考とは、「つながっている・深く考えている・広く考えている」の3つを満たした考え方だ。ツッコミどころの多い考え方は、ロジカルではない。
(2)ロジカルになるための基本は、「目的に対して適切な行動をとる」ことだ。
(3)言葉の解釈の幅を減らし、誰もが同じ意味でとらえられるようにしなければならない。
(4)選択肢の重要性や実現可能性をすぐに評価せず、抜け漏れなく拾い上げていくべきである。

要約本文

【必読ポイント!】
◆ロジカルシンキングに必要な3つの要素
◇残念な考え方は「ツッコミどころが多い」

「日本人の多くはロジカルな思考を苦手としている」と言われて、うなずいてしまう方もいるだろう。しかしよく考えると、引っかかるところがないだろうか。

 まず「多く」とはどのくらいで、どう調べたのかわからない。そもそも「ロジカル思考が苦手」とはどのような状態なのか、その判断の基準も不明だ。もしこうした疑問に答えられなければ、冒頭の主張の根拠は「私がそう思うから」でしかない。これがロジカルな主張でないことは明白である。

 非ロジカル=残念な考え方は、この例のように「ツッコミどころの余地が多い」ものといえる。「本当にそう?」「証拠はある?」「あなたの感想では?」「ただの偶然では?」「例外では?」など、ツッコミが容易に頭に思い浮かぶようなら、それは「残念な考え方」である。

◇「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」

 ロジカルな思考とは、「つながっている」「深く考えている」「広く考えている」の3つの要素を満たした考え方だ。

「つながっている」という条件を満たすには、演繹的もしくは帰納的に考えたとき、そこに不自然さや間違いがなければいい。演繹とは「AならばB、BならばC、よってAならばC」と話がつながること、帰納とは「ライオンA、B、Cは肉を食べる。よってすべてのライオンは肉を食べるだろう」のように、個別の事例から一般的・普遍的な法則を導くことを指す。すなわちツッコミどころがなく、自然につながっていれば、その考え方はロジカルといえる。