◇無意識の常識に気づく

「反対意見がない」からといって、それが「良い意見」とは限らない。「過去にそうだった」「みんながそう言っているから」といった意見すべてが、かならずしもロジカルに導かれた結論というわけではないのである。

 重要なのは、一般論や多数派の意見についても「本当にそうか?」と考え、本当に効果があるかどうかを判断することだ。とりわけ「安くすれば売れる」「景品をつけ、限定品にすれば売れる」というように、誰からも反対意見が出ない「良いこと」については、一歩引いて冷静に考えることが重要だ。

◇事実と意見を切り分けるのは難しい

 ロジカルに深く考えるためには、現実=事実と願望=意見を分けることが欠かせない。

 人は客観的に考えたつもりでも、「そうであってほしい」という願望が、いつの間にか「そうなるはずだ」という確信にすり替わってしまいがちだ。現実と願望、事実と意見を分けて考えるには、「空・雨・傘」のフレームワークを使うといい。これは、空に雲が出てきたという「事実」、雨が降るだろうという「解釈」、だから傘を持っていこうという「行動」に分解し、それぞれの妥当性を検証するというものだ。

 たとえば、お客さんが少ないという「事実」に直面している飲食店が、対策としてチラシを配るという「行動」をするのは妥当だろうか。この行動には、事実の「解釈」が抜けている。もしお客さんが少ない本当の理由が料理の味にあるとしたら、チラシを配っても抜本的な対策にはならないだろう。

◆「広く考えていない」と言われたら
◇引くドアを一生懸命押していないか

 目の前にあるドアを押しても開かなかったら、「引けば開くのではないか」「スライド式ではないのか」と考えるだろう。

 選択や決定をする際も同様である。抜け漏れや重複があり、広く考えていなければ、ロジカルな思考とはいえない。思考の抜け漏れを防ぐのに便利なツールが「ロジックツリー」だ。もし海外旅行の行き先を考えたいのなら、まず「アジア、ヨーロッパ、アフリカ……」と分類し、アジアならさらに「東アジア、東南アジア、南アジア……」と細分化していく。